奥駈けの第4回目として、みなさんと二日で釈迦ヶ岳から太古(たいこの)辻を経て前鬼(前鬼口)まで歩いた。 初日は、十津川村の旭川を遡って新(太尾)登山口からスタートし、古田ノ森・千丈平から第四十靡の釈迦ヶ岳に登頂。稜線を南下して、岩壁に穴が開いた都津門(とつもん)・深仙(じんぜんの)宿・聖天(しょうてん)ノ森・五角仙(ごかくせん)・大日岳・二ツ石へと進む。深仙宿では四天石の下に湧き出る香精水を飲んだ。太古辻から下山し始めると、大日谷の源流を渡って千手岳に向かう行者の姿があった。両童子石(りょうどうじいわ)から、傾斜の緩くなった谷筋に降りるとトチノキの巨樹が目に入り、まもなく石垣が現れて前鬼へ着く。 2日目は「前鬼口」バス停へ15時頃に着けばよいので、まず前鬼川の垢離取場(こりとりば)まで往復しようと出かける。現地に着くと、幸い水量が少ないので飛び石で対岸に渡って三重(みかさね)滝へ向かうことにした。前鬼裏行場の一部で、一番下にある不動滝の落口から上部の千手ノ滝の中段まで登る。左岸の岩に胎蔵界ノ窟と金剛界ノ窟があり、長い柄杓を出して落下する水を受けた。前鬼の宿坊から林道を下ると、1ヶ所だけ釈迦ヶ岳を望める地点がある。あとは、不動七重(ななえの)滝や初夏の草花を眺めながら国道めざして歩く。 前鬼では、今回も小仲(おなか)坊に泊めていただく。五鬼助義之(ごきじょよしゆき)さん・三津子(みつこ)さんご夫妻のお話しも興味深く、行者さんから朝の勤行の後で行者堂の説明も伺った。釈迦三尊佛はかつて釈迦ヶ岳にあったもので、盗難後に戻ってきたという。傍の観音菩薩像は他坊のもの。長押に並ぶ古い碑伝(ひで)・護摩札と堂内に置かれた鐘に、前鬼の長い歴史を感じる。とても貴重な時間を過ごすことができた。重複する2年前の山行リポートは、No.768【大峰の高峰群】とNo.769【前鬼の裏行場】で(2024.5.4〜5.5)。 |