千種(ちくさ)川下流の両岸に連なる雄鷹台(おたかだい)山・後(お)山や尼子山・宝珠山に登って、播磨灘の美しく開けた景観に魅せられた。今回は、「坂越(さこし)尾崎遊歩道」「小島〜坂越遊歩道」をつないで、まだ歩いていない区間を歩こうと出かける。 距離が長くなるので、「坂越」駅から尾崎小学校までバスを利用する。亀甲山の登山口がある峠まで車道を使い、丸山から西山へ縦走したのちいったん下山。坂越の木戸門跡から茶臼山へ登り返し、宝珠山から坪江山(大谷山)へ。高伏(たかぶせ)山を往復して小島まで尾根を辿り、坂越湾に沿って駅へ戻る計画にした。 尾崎の住宅街をはずれ、広葉樹林の中をカーブを描きながら亀甲山登山口まで道路を登る。北側上部の西斜面に見晴台があって、市街と海辺が見渡せた。午前中の最高峰は丸山で、反対側の家島諸島を望むことができる。 次のピークが南宮山。山頂一帯はツブラジイなどが茂っていた。尾根上を石垣がつづくので、猪垣かと思ったが村の境界を示すものと判明する。亀甲山の山頂手前に明るいササ原があって、遠く淡路島や小豆島が海上に浮かんでいた。 四等三角点の西山(点名=坂越)から降ると、途中で八祖(やそ)山経塚へ登る道が分かれる。坂越の入口にあたる木戸門跡には古い道標が残っていた。大道(だいどう)を東に進み、裏道にある地蔵堂から船岡公園へ出て昼食の時間にする。 午後は、「山舞P吾君(旧坂越村長)像」から妙見寺に向かい、観音堂から四国八十八ヶ所の巡礼道に入った。茶臼山で眺望を楽しみ、宝珠山まで石仏の道を辿る。坪江山から、この山稜の最高峰である高伏山を往復し、IHI・関西電力社有地との境界を海に向けて進む。相生発電所の施設が近い。 小島集落の北側に、台地状に張り出した尾根(標高79m)があって、五世紀(古墳時代中期)の古墳(みかんのへた山古墳)が調査で確認された。説明版には、未調査の二号墳も記載される。急な坂道を降って海辺に出た。目の前に鍋島があり、坂越湾の行く手には生(いき)島も見える。 西へ進むと、山際に弘法ノ井戸(弘法ノ霊水)があって飲料水などに利用されてきた。波打ち際ながら、炭酸水が湧き出ているらしい。生島の鳥居と仏教様式の建物は大避(おおさけ)神社の御旅所で、10月の船祭で船渡御が行なわれるという。 坂越は、漁業と廻船業によって栄えた町である。繁栄の歴史を伝える旧坂越浦会所や奥藤家(酒造業)の屋敷を見ながら駅まで歩く。距離は15キロメートル余、6時間半の行動だった(2025.12.12)。 |