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千種忠顕にまつわる旧跡〔雲母坂〕
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雲母坂1
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 *雲母坂の登り口
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雲母坂2雲母坂3
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雲母坂4雲母坂5
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 *左上=音羽川左岸の道(下流を望む)
 *右上=仰ぎ見る比叡山(修学院離宮付近)
 *左下=「水飲対陣之跡」碑
 *右下=水飲の近くにある「浄刹結界趾」の標石
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雲母坂6雲母坂7
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雲母坂8雲母坂9
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 *左上=京都市街の展望
 *右上=「千種忠顕卿戰死之地」碑
 *左下=千種塚舊址に立つ石碑
 *右下=蛇ヶ池近くの斧堂跡
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雲母坂10
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 比叡山の登路として、もっとも人気のあるコースが雲母坂です。京都と比叡山を繋ぐ坂道で、かつては僧侶や勅使だけでなく、日吉大社の山王神輿が通ったことでも知られています。そして、『太平記』の舞台でもありました。登り口には「親鸞聖人御旧跡 きらら坂」の標石があります。

 修学院離宮の縁は溝の中を這うように上りますが、尾根に出ると歩きやすくなります。この坂には、後醍醐天皇の廷臣だった千種忠顕ら西軍と足利軍(東軍)の戦った跡があり、各所に石碑が立てられています。千種忠顕が討ち死にした場所は、「千種忠顕卿戰死之地」碑付近だといわれています。

 水飲は急坂を登って一息つく場所を表わし、休憩するのに相応しい地点です(水飲対陣跡)。ここは、赤山から梅谷を遡る行者道(赤山道)と一乗寺掛橋から山腹をトラバースしてきた「京都一周トレイル東山コース」が接続する十字路になっています。上部の尾根に「浄刹結界趾」があり、修行僧はこれより下ることが許されませんでした。

 もう一つの「赤山道」が合流すると、脱俗院趾への道が左に分かれます。旧蹟近くには、「千種塚舊址」があります。山腹を絡みながら北東へ進めば、梢越しに京都市街を眺めることもできます。二つの道が出合う地点の南西に「千種忠顕卿戰死之地」碑がひっそりと立っています。この十字路で左(北北東)に進路をとると、ケーブル比叡駅へ行くことができます。右(東北東)が雲母越の道で、蛇ヶ池のスキー場跡から四明ヶ岳や大比叡に登れます。途中の支尾根に、斧堂の礎石といわれるものが残っています。

 なお、江戸時代の地誌に出てくる水飲越は、現在の雲母越でなく山頂付近を通ったものと思われます。
 (※コースの地図は1:50,000「京都東北部」を背景に使用し、道や地名を加筆しました)
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志賀の大仏・西教寺の石仏〔「志賀の山越」(今路越)〕
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志賀越1志賀越2
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志賀越3志賀越5
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 *左上=入口にあたる滋賀里の八幡神社
 *右上=「近江朝廷崇福寺・山中越京都道」の道標(大正時代)
 *左下=落ち着いた佇まいの滋賀里の集落/右下=崇福寺跡近くにある金仙滝
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志賀越4
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 *「志賀の大仏」
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志賀越14志賀越6
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志賀越7
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 *上=道筋に安置された石仏(右=「よこての地蔵」)
 *下=南志賀へ下る旧道に残る馬頭観音像
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志賀越8
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 *馬頭観音像から峠へ直接向かう尾根道
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志賀越9志賀越10
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志賀越11志賀越12
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 *左上=山中町の旧道/右上=西教寺門前の薬師如来石仏
 *左下=山城側の入口に建つ宝篋印塔/右下=重石
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志賀越13
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 志賀越(「志賀の山越」「今路越」)は、近江と山城を結ぶ近道として、平安時代から使われてきた古い道です。和歌にも数多く詠まれ、紀貫之がふれたように信仰・参詣の道として定着していたようです。時代が下るにつれ、輸送や戦略的な道として、大きな役割を果たしてきました。

 滋賀里の集落を抜けると、竹林にある百穴(ひゃっけつ)古墳群を右にみて、「志賀の大仏」と出合います。室町時代の作とされる弥勒菩薩像です。その先の谷が分かれる上部には、崇福寺・梵釈寺の堂舎跡が点在しています。また、古道沿いにはいくつもの石仏が目につきます。

 この谷筋から、南側の支尾根を越えて南志賀へ出るルートには、関西では少ない馬頭観音の石像もあります。支尾根をそのまま上ると、峠に直接登れる道が開かれています。峠には頭部が欠けた地蔵さんがあり、覆い屋に納まっているものの寂し気です。

 本来の峠道は西側の谷を下ります。ドライブウェイに沿った左の階段を上がると、「雅ヶ丘」と名付けられた東屋から「ふれあいのもり」(比叡山生活環境保全林)を大津市営放牧場へ出ることができます。「ミツマタ路」「コデマリ路」などと名付けられた遊歩道が整備され、季節の草花を愛でながら田ノ谷峠へ向かいましょう。現在はこのルートがお勧めです。交通量の多い「山中越」の道路には、比叡平入口から山中町まで歩道もあります。

 静かな山中町の旧道は神社や寺院が並び、西教寺の門前にある薬師如来石仏は、やはり室町時代の作といわれています。この石仏は、「志賀の大仏」と京都・北白川の志賀越の分岐にある石仏まで、それぞれ一里あるそうです。さらに鼠谷川下流の国界付近にも、重石(かさねいし)や宝篋印塔があります。「志賀の山越」は、石とかかわりが深い歴史の道です。
 (※コースの地図は1:50,000「京都東北部」を背景に使用し、道や地名を加筆しました)
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身代不動尊・登仙台〔「比叡アルプス(長尾)」〕
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長尾1
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長尾2
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長尾3
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 *上から順に、身代不動尊/「比叡山無動寺 大辨財天道 是より五十三町」の標石(右)と
  北白川愛郷会の案内板/無動寺川
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長尾4
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長尾12
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長尾5
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長尾6
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 *上から順に、愛宕山と京都市街/広葉樹林帯を登る/ヤセ尾根には巨木も混じる/平坦地が続く尾根道
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長尾7
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長尾8
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長尾9
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 *上から順に、四明ヶ岳南面/一本杉/登仙台から京都盆地を見下ろす
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長尾10
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 志賀越(山中街道・白川街道)の身代不動から無動寺川を遡り、左岸の支尾根に取り付いて一本杉のある登仙台に登るコースは「比叡アルプス」と呼ばれています。とくに、秋は美しい色彩に彩られます。

 弁天道と志賀越との分岐に、以前は「大辨財天道 五十三町」と並んで「比叡アルプス」の標石がありました(現在は撤去され不明)。谷筋から尾根に出るまでは少しわかりづらい箇所もありますが、注意していれば問題ありません。府県境まで登ると道も明瞭になり、ほぼ尾根通しで登仙台に達します。
 途中の露岩では、愛宕山を望める場所もあります。大きな樹木も多く、周囲は風致地区のため見事な樹林が広がります。進むにつれ、送電線の巡視路や掛橋に下る白鳥越など、何本かの道が分岐するので現在地を確認しましょう。
 上部では平坦地が続きます。その多くは、中世から近世にかけての山城跡といわれています。一本杉で比叡山ドライブウェイと出合い、その少し先にある検札ゲート前で東に渡れば東海自然歩道につながります。
 (※コースの地図は1:50,000「京都東北部」を背景に使用し、道や地名を加筆しました)
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長尾11
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 *白鳥越の道から「比叡アルプス」の尾根を望む
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花摘峰・聖尊院〔東塔本坂・東塔坂・本坂〕
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本坂1
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本坂2
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本坂3
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本坂4
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本坂5
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本坂6
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 坂本から根本中堂へ向かう東塔本坂に、花摘峰(はなつみのみね)という尾根上の小ピークがあります。山麓から望むと大比叡の前衛をなしており、独立した山のように見受けられます。伝教大師最澄のために、慈母がここまで登り祈りを捧げたといわれる場所で、後に智証大師が建てた花摘堂がありました。現在はその場所に石碑が立っています。最高地点はもう少し東で、植林に被われ残念ながら眺望は得られません。

 悲田谷道と合流する付近では、墓碑や宝篋印塔が目につきます。檀那院覚運の墓を過ぎると聖尊院(しょうそんいん)で、薬師如来石仏が祀られています。傍らには慈覚大師(円仁)廟を示す石造道標があり、明瞭な道が続いています。

 急な船坂(船橋坂)を登りきると右手に文殊楼への石段が目に入ります。大比叡をめざすには、延暦寺会館前の坂道をそのまま政所ノ辻に向かいましょう。かつて「要の宿」(かなめのやどり)にあった地蔵尊が移され、延暦寺事務所前に祀られています。

 *上から順に、花摘堂跡/本坂途中の宝篋印塔/聖尊院堂近くの本坂を登る/聖尊院堂の石仏/文殊楼への石段
 (※コースの地図は1:50,000「京都東北部」を背景に使用し、道や地名を加筆しました)
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八瀬からの登路〔松尾坂/西山〕
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西山4
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西山5
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西山6
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西山7
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西山1
 *「空中鋼索線」の表記がある昭和6年部分修正測図(1:50,000「京都東北部」の一部)
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西山2
 *ロープウェイが撤去され、表記がなくなった昭和25年応急修正図(1:50,000「京都東北部」の一部)
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西山3
 *現在のロープウェイが記された昭和35年資料修正図(1:50,000「京都東北部」の一部)
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 京都側から比叡山へ登る一般的なコースは、修学院を起点にする雲母坂(行者道を含む)以外は知られておらず、他の道で人と出合うことはあまりありません。

 いちばん近い八瀬から、ダイレクトに四明ヶ岳や大比叡に登れないのも不思議な気がします。そこで、松尾坂から西山の尾根を使うルートに着目しました。西塔への参詣道としてよく歩かれた松尾坂を西山の峠(西塔南尾谷墓地付近)まで登り、ここで四明ヶ岳から下ってくる尾根(西山)に入り、蛇ヶ池もしくはケーブル比叡駅に向かいます。上部ではツガや落葉広葉樹の林も見られます。

 そして、山上で雲母越・京都一周トレイル北山東部コースへ合流すれば、これまでとは違った比叡山を味わうことができるでしょう。途中には経塚の跡や旧ロープウェイの駅舎跡など、忘れられた歴史の痕跡を目にすることもできます。

 *上から順に、西山の尾根と愛宕山/四明ヶ岳経塚/旧ロープウェイ駅舎
 (※コースの地図は1:50,000「京都東北部」を背景に使用し、道や地名を加筆しました)
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stage01
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