熊野市の大蛇(おおじゃ)峰は、新鹿(あたしか)と大泊(おおどまり)の間に位置する。新鹿湾に注ぐ里川と大泊湾へ流れる熊野宮川に挟まれた山稜の最高峰である。「大泊」駅からそれほど離れていないので、歩いて接近した。 国道42号の小坂峠に向かう佐田坂の途中で、左岸の支流に清滝が懸かる。その先にある半円を描く尾地山(おちやま)橋を渡り終えると登山口だ。植林地を登ればナメで合流する支流を越えて二俣に着いた。船石川右俣へ進むと長いナメ床が現れ、上部も断続的にナメ滝がつづく。開けた中流の右岸にトチノキの巨樹が聳え、作業場の石垣や炭窯の跡が辺りに点在する。上部が明るくなるとフカギリの鞍部に着いた。 まず、南側の烏帽子岩を往復する。手前にも大きな岩が立ちはだかるので、西側斜面をトラバースし次の小ピークは東面を巻く。再び西側から梯子で烏帽子岩の上に出ると、樹木に隠れた一部を除いて熊野の海と山が大きく開けていた〔烏帽子岩(大泊)の眺望〕。 フカギリに戻り、大蛇峰に向かって急坂を登る。標高600mを超えると平坦になって頂上へ到達。南西側が伐り開かれ、七里御浜や那智周辺の山々を望むことができた。尾根を少し戻って、南の支尾根を下降する。途中で左側に二度スラブが現れ、その端へ行って熊野灘を眺めた。下部の自然林はなかなか雰囲気がよく、植林地で20メートルほど登り返す区間があったものの、ほぼ一直線で二俣へ降り立った。右岸の道を登山口まで戻り、観音道に向かう(2024.1.30)。 |