探山訪谷[Tanzan Report]
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 No.1081【坊主尾根より傾山】
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左=登山口にある九折(黒平)鉱山跡  右=山手本谷に架かる橋
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左=登山道から見下ろす観音滝  右=三ツ尾
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左=三ツ坊主(T峰)  右=坊主尾根の先に傾山(本傾)が見える
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祖母山(三ツ坊主から)
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左=二ツ坊主(U峰)  右=二ツ坊主のリッジ
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「吉作落とし」
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左=傾山(本傾)の西面  右=五葉塚手前の岩場
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左=ロープ・鎖がつづく  右=前傾
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本谷山(中景左)と古祖母山(遠景中央左)・障子岳(遠景中央)・祖母山(遠景右手)の山稜
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左=山頂の八幡社祠  右=傾山(本傾=二等三角点。点名=傾山)
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坊主尾根
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リンドウ
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左=後傾  右=本傾(後傾から)
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振り返って見る傾山
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左=センゲン付近の林  右=九折越
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芥神ノ滝
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登山口近くから坊主尾根を望む
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 若い頃に祖母・傾(そぼ・かたむき)山系に行ってから、かなりの年月が過ぎた。昨秋、同じ山域にある大崩(おおくえ)山の坊主尾根を歩いて、傾山の坊主尾根もトレースしたくなった。前山行は眺望に恵まれなかったので、今回は移動性高気圧が西日本を覆うタイミングで出かける。
 緒方から九折(つづら)の登山口に向かうと、傾山(四皇子=しおうじ=峰)の上部だけが雲に隠れていた。太陽が高くなれば霧消するだろう。かつて、銅や錫を採掘した九折(豊栄)鉱山(閉山=1975年)の処理施設を横に見て九折川本流を上流に向かい、導水路兼用の橋で右岸に渡る。名爆で知られた酒桶滝(淵)が近くにあったらしい。また、祖母山から流れる奥岳川流域には日本有数の尾平(おびら)鉱山もあって、最盛期は大変賑わった地域である(閉山=1959年)。
 三ツ尾への急坂を登ると、ドウカイ谷に懸る観音滝(滝壺)へ下る道が左に分かれる。急斜面を登って林道を横断すると尾根に出た。広葉樹の自然林が戻ってきて、やがて三ツ尾に着く。大白谷(三重町=現・豊後大野市)からのコースが合わさる。
 いったん降って登り返すと、坊主尾根と水場のあるトラバースルートの分岐だ。徐々に雲が薄くなって三ツ坊主のT峰が頭上にぼんやりと浮かび上がった。踏跡はやや不明瞭だが、概ね東斜面の露岩を縫って進む。岩峰の上に立つと傾山のピークが行く手にあった。反対方向には祖母山の稜線も認められる。
 一連の岩峰群が終わると、次は二ツ坊主だ。どれも西側は深く切れ落ち、迫力ある景観が展開する。なかでも、伝承の舞台である「吉作(きっさく)落とし」は規模が大きい。U峰(次男)の先にリッジがあり、梯子が設置してあった。そのまま進むのでなく、上段に足をかけて右手の岩の斜面に降りなくてはならない。次のT峰(兄)でも岩に登って景観を楽しんだ。
 鎖とフィックスロープがつづく岩場を登り切って、トラバースルートと合流。1時間30分ほどの坊主尾根であった。五葉塚から前傾を経て二等三角点の傾山(本傾)に着く。静かな頂上で、出発時より前後しながら歩いていた一人と眺望談義に花が咲く。
 昼食後は、九折越からカンカケ谷・山手本谷に沿う道で九折へ降る。後傾を過ぎるまでは露岩の多い気を使う道だったが、センゲン(千間山)付近はなだらかな稜線になって快適だ。振り返ると、先ほど登ってきたピークが日に輝いていた。
 避難小屋手前の広い鞍部から急な道を降る。五合目で林道を横断し、再び急峻な支尾根を慎重に足を運ぶ。谷へ出た地点で不明瞭になり、左岸にあるはずのルートを注意深く探す。テープは対岸に渡るよう取り付けられていた。午後3時近くの谷筋はかなり暗く、曖昧なまま進むことはできない。
 悲恋の物語を秘めた芥神(あくがみ)ノ滝を眼下に見ると、ほどなく鉱山の導水路と合流した。時間があるので、登りに割愛した観音滝の滝壺まで往復する(2025.10.29)。
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観音滝(落差=約70m)
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