探山訪谷[Tanzan Report]
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 No.1001【大崩山】
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左=大崩山登山口(上祝子)  右=これから登る湧塚の尾根を見上げる(湧塚への徒渉点から)
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袖ダキ(ソデノタキ)から小積谷上部を望む
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袖ダキ(ソデノタキ)から見下ろす下流方向
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左=乳房岩  右=下湧塚を登る
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下湧塚
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中湧塚
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左=中湧塚から上湧塚の方向を望む  右=上湧塚
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湧塚コースの岩稜(本ダキ)
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霧氷の花が咲く稜線
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左=霧氷  右=大崩山(一等三角点。点名=祝子川山)
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頂上から延岡の市街方向〔中景中央左は榎峠。背後の山稜の右端に行縢(むかばき)山〕
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尾鈴山(最遠景中央)。手前の中央は珍神山(仏野)。中景に鬼ノ目山の山稜が横切る
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南側の山なみ〔最遠景は左から高千穂峰・石堂山・韓国岳と市房山・江代山(津野岳)など〕
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南西側の眺め(前景は釣鐘山。遠景中央に諸塚山。最遠景は椎葉の山々)
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左=小積ダキ  右=象岩
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象岩の下部は岩場がつづく(対岸は小山手本ダキと横タキ・広タキの山稜)
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左=坊主尾根の下降ルート  右=ときおり雲が切れて青空に
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坊主岩(米岩)付近から祝子川下流を見下ろす
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祝子川の徒渉点から見上げる坊主尾根(中央は小積ダキ)
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祝子川(大崩山登山口の上流)
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 祖母・傾山系の宮崎県側にある大崩(おおくえ)山は、山腹に岩場を擁する特徴的な山容を誇る。なかでも、大規模なスラブと「ダキ」(「タキ」)と呼ぶ岩峰(岩崖)が見る者を圧倒する。冬型の気圧配置になって、日本海側は降雪も予想されたので、懸案だった九州の山に出かけた。
 延岡を早朝に立って、祝子(ほうり)川の上流をめざす。大崩山登山口から大崩山荘(大崩山山小屋)の前を通って湧塚(わくづか)コースを登り、登頂後は坊主尾根を大崩山荘へ降る日帰りの行程。
 登山口から祝子川左岸の急斜面を横切って行くため、何度も上部へ迂回させられた。多雨地域だけに、土砂崩れも多いのだろう。幸い湧塚の徒渉点は飛び石で渡ることができた。小積(こづみ)谷の流れを渡り返しながら遡るが、大岩や崖でルートは不明瞭。ピンクのテープを目安に進むものの、暗いためルートファインディングが難しい。
 尾根に出たら歩くやすくなった。袖ダキ(ソデノタキ)は展望に優れるところだが、この頃からガスに覆われて対岸の坊主尾根も下部しか見えない。露岩と岩稜がつづくので、北面のトラバースでなくつい上部の岩場へ誘われる。下湧塚から中湧塚にかけても地形図の道を大きく外した。尾根上なので、現在地はGPSで正しく把握できる。岩場を慎重に降ってコースへ戻った。以前はこの一帯を本ダキと呼んでいたと記憶する。湧塚岩峰群の最高峰は駒次郎ダキと称した。
 上湧塚のトラバースを終えると穏やかな地形に変わり、葉を落とした広葉樹林に気持ちが和む。標高1,500m辺りから霧氷が現れ、ミゾレが舞う視界に木々の枝がいっそう白い。思いがけない光景に遭遇して嬉しい。今シーズン初めての冬の装いだ。
 鹿納(かのう)山からのコースが西側から合流し、石塚を越えて山頂に達する。南側は徐々にガスが薄くなって、ときおり青空も覗くようになった。延岡市街や日向灘が日光に輝く。
 坊主尾根への分岐から小積ダキの標高点(1,391m)に寄り道し、折り返して象岩から尾根の核心部に入った。花崗斑岩のスラブが連続して、ワイヤー・ロープ・アンチ(踏板)・梯子がなければ通過するのは難しい。こんなルートを、よくつくったものだと感心する。人工的な補助手段がなければ、バリエーションルートである。途中には、岩の隙間を潜り抜けるところもあった。
 標高1,050m付近から谷の斜面に入ると、幾分傾斜が落ち着いてくる。ゴーロとなった下小積谷は左岸に道がつづく。祝子川を飛び石で渡り、日当たりのよい河原で濡れた雨具とカバーを広げた。見上げると、小積ダキをはじめ坊主尾根の岩頭が重なり合っている。ただ、ガスが完全に上がることはなかった。この日のコースは森林生態系保護のコア地域になっていて、造形の妙と見事な自然環境を存分に体感する一日になった(2024.11.23)。
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