６月に一体山と柳生の里を歩いたので、山歩きの講座で笠置山まで秋にトレースしようと企画した。だが、今年は残暑がつづき９月になっても夏のような様相を示す。奈良市街から標高の高い柳生に入ると、稲が実り刈り取りの光景をなんとか見ることができた。この日の行程は短く高低差が少ないので、この地域の見どころをつないで周回する。
まず、柳生藩の家老屋敷で豪壮な石垣を眺め、次に古城（ふるしろ）山にある劔塚まで登る。上部は山城跡らしく、堀切や曲輪跡を確認することができた。元弘の乱（1331年～）で柳生永珍（やぎゅう ながはる／なかより）が使ったとされる。落雷で枯れた十兵衛杉の下には、二代目の木が葉を茂らせていた（幹周り4m+。高さ19m）。稲の収穫作業が進む田園風景を眺めながら、やぐり橋を渡って阿対（あたや）の石仏に向かう。笠置山など周辺に点在する磨崖仏と同様のもので、鎌倉時代末の作（阿弥陀像）とされ、左下の地蔵菩薩像は室町時代の追刻という。
打滝（うちたき）川に沿う道路（県道４号）を、奈良市と笠置町の境界まで行って古い境界標石を見た（東面＝全判読不能／北面＝從是東奈良縣管？／西面＝從是東大和國）。笠置山へ向かう東海自然歩道に戻り、解脱房貞慶（じょうけい）上人（笠置上人）の住房跡で昼食の休憩。上部は六角堂跡が広がる。別に鐘楼跡もあるらしい。その後は笠置寺の山門前に出て、町石を見ながら旧参道を笠置の町へ降りた（2025.9.1）。 |
