昨春の同じ時期に、今畑(廃村)から西南尾根を登って山頂をめざしたが、風雨に阻まれ途中で引き返した(「風雨の霊仙山」)。今回は晴天に恵まれて予定のコースを周回し、眺望と春の花を存分に楽しむことができた。みなさんにとっても、印象に残る山行だったのではないだろうか。 多賀町の山安原(あけんばら)を出発して、まず今畑登山口に向かう。今は登山口まで車でアプローチを図るのが普通だが、水分を取ってウォーミングアップする時間がけっこう大事だと感じている。道路沿いはシャガとヤマブキの花に彩られていた。土蔵や寺が残る今畑の集落跡では、クリンソウの花芽が出始めたところで、昨春に比べ1週間から10日ほど遅い印象を受ける。淡い緑の落葉広葉樹林が心地よい。 笹峠から石灰岩の目立つ斜面になり、喘ぎながら1,003mの「近江展望台」まで登って昼食の休憩にした。鈴鹿の北部から中部の山々が連なり、みごとな風景が展開する。午後は、歩きにくいカレンフェルトの地質と地形を感じながら進むと、乾き切った尾根に小さな草花が咲いていた。スミレの仲間とニリンソウが多い。凹地のドリーネを回り込み、標高を上げると最高地点に到達。今度は曲線を描く北湖の汀と湖北方面が眺められた。気温と湿度が高いので、湖西や奥美濃の山々は姿を隠している。つづいて、三角点のピークに立った。 経塚山から大洞谷の源頭に降り、鳥居(霊山神社)があるお虎ヶ池から汗フキ峠への尾根を進む。「お猿岩」(七合目)の下と峠近くに傾斜の急な区間があり、滑らないよう慎重に足を運ぶ必要があった。峠の下にもフィックスされたロープと徒渉があって、最後まで気の抜けないルートである。左岸の支流が合流する上部で、林道工事の重機を止めてもらい通過する。 落合(廃村)で少し時間があったため、男鬼(おおり=彦根市)の谷へ花を見に行く。どこも、初夏の始まりを示すような緑のグラデーションがすばらしかった(2025.4.27)。 |