羽束(はつか)川下流(左岸)にある大岩ヶ岳は、三田市・宝塚市・神戸市の境界にある山で、北摂や六甲の山々の眺望に優れるピークである。日曜日のトレッキングで希望があり出かけた。2015年に「登りたい山」の一座として山行を実施したが、年月が経っているので変化にも興味が湧く(No.244)。丸山湿原から武庫川沿いに「武田尾」駅へ向かうのは困難なので、行程は「道場」駅から千苅(せんがり)ダムを経て西大岩ヶ岳に登り、東大岩ヶ岳から湿原を周回して「道場」駅へ戻る。 武庫川左岸の道路を東に進み、不動岩を正面に見て麓を廻り込む。大正時代にできた千苅ダムは、水道(神戸市)の水源池である。橋とともに近代化産業遺産(登録有形文化財)に選定されている。左岸の斜面に取り付き、高度を上げると六甲山が背後に横たわっていた。西大岩ヶ岳から少し降り、露岩を登ると大岩ヶ岳の頂上(二等三角点。点名=千苅)に達する。駅前の賑わいが移動したかのような人の数である。しばし、360度の眺望を楽しむ。 急な斜面を降りて平坦な谷に入り、トラバースして東大岩ヶ岳へ向かう。岩場を登り切ると、ここにもたくさんの人の姿があった。静かな北側の馬ノ背に降って昼食の休憩にする。 午後は、トラバース道まで戻って谷を降り、丸山湿原に向かう。凝灰岩質の粘土が堆積した湿原は全部で5ヶ所あるらしい。大きな第1湿原にはテラスが設けられていた。辺りを冬枯れの景観が占める。案内板には、シルト(風化した粘土)の特徴や季節ごとの植物・昆虫などが詳しく説明してある。兵庫県で、もっとも面積と生物多様性を誇る湿原群として、県の天然記念物になっている。 参加者にリードしてもらって丸山(点名)の四等三角点へ向かい、ザレを降って「風吹岩」にも寄る。この付近は地形が複雑で、しかも標高差が少ないので現在地の確認が欠かせない。緩やかな谷筋を埋める石礫と落葉に注意しながら、羽束川に架かる橋へ出た。恵まれた天気に、北摂の里山はどこまでも美しかった(2024.12.15)。 |