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音羽川(中流部)
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音羽川中流
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*以下に記載の文章は、「比叡山系を歩く」(2003年)より抜粋して掲載しています。
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 音羽川沿いの道は「石切道」と呼ばれ、『山州名跡志』にも「秀吉公大仏殿御建立の時、初めて白河より石を出す。これより此所をとどめて、売石を禁じ公用のほか取る無きなり」と紹介している。風化しやすい花崗岩によって、川筋はどんどん高くなり、最近では1972(昭和47)年9月の台風で下流一帯に大きな水害をもたらした。その後は、砂防対策が講じられ、現在はコンクリートの溝のような姿に変わってしまった。雲母坂の登り口付近には、沈砂地や堰堤など防災に関する勉強ができるよう工夫されている。
 砂防ダムの続く下部は省き、雲母坂にある「水飲対陣之跡」碑から杉谷川を下り、音羽川の本流に出る。
 白砂が堆積した川床は浅く、周囲の広葉樹とともに好ましい雰囲気が周りを包んでいる。
 上流へ向かうと小落差がところどころにあって、インゼルの先で急角度に東へ曲がる。掛橋の二ノ鳥居から下ってくる京都一周トレイル東山コースが、飛び石伝いに流れを横切る。
 なおも水流に沿って溯ると、花ヶ谷など四明ヶ岳南面の水流が流れ込む。少し両岸に岩が現われるものの、まもなく砂防ダムが続くようになるので林道へ逃げる。
 道のない音羽川中流部であるが、谷歩きとしてはまったく見るべきものをもたない。ただ、水量の多い時期であれば、入門者向けの講習会などに使えるだろう。

 ■溯行対象区間の参考時間 「水飲対陣之跡」碑〈15分〉音羽川・杉谷川出合〈20分〉京都一周トレイル東山コースの横断地点〈20分〉林道の横断地点[上級]

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