「鞍馬の火祭」が行なわれる当日の日中に、鞍馬寺へ出かける用事ができた。昼過ぎには終わるので、用意が進む街道筋を少し歩く。 仁王門(山門)に着いて登り始めると神輿が一基降りてきた。9時から始まる例祭の「奉遷の儀」が終わったらしい。桃山時代の割拝殿(わりはいでん=重文)を通って本殿前に登ると、ほどなくもう一基が運び出された。新しくなった外陣が眩い。 由岐(ゆき)神社
(靫=ゆき=明神)は、朱雀天皇の詔によって天慶(てんぎょう)3(940)年9月9日(現在=10月22日)に御所から鞍馬へ勧請された。その折に、地主神(八所明神)が篝火を焚き松明を持って迎えたことを伝えるのがこの祭礼である。参道ではアキチョウジの花が咲いていた。 せっかくなので、八所明神の小祠にも寄ってみる。鞍馬寺本殿金堂の裏手にある鐘楼の隣だ。今は相殿(あいどの)として本殿に八所大明神が合祀されている。 門前まで降りてくると注連縄と幕で結界がつくられ、八所大明神・由岐大明神の神輿が安置してあった。街道筋の家々では神輿渡御に備えた準備が着々と進む。七つある仲間の宿(やど=会所)の中には、すでに設えを終えて談笑する氏子の姿も見られた。道路際の剣鉾(四本鉾・一本鉾)が立つ光景は美しい(2024.10.22)。 |