琵琶湖畔から三石(さんごく)岳を望むと、東側へ一直線に下りる尾根が目立つ。馬ヶ背と称し、山麓には天台真盛(てんだいしんせい)宗総本山の西教(さいきょう)寺がある。坂本(大津市)から横川(よかわ)に向かう「元三大師道」のひとつで、西教寺道とも呼ばれる。 天気のよい日に時間ができたので、その馬ヶ背道を登ってみた。牛ヶ平付近の送電線鉄塔からは眼下に琵琶湖が広がる。傾斜が急になってくると、右手の栢(かや)ノ木谷に向けて緩く登る道があるではないか。作業道かもしれないが、道幅や歩かれた状況からかなり踏まれたような印象を受ける。 これまで尾根筋の踏跡が明瞭だったので、ルートは尾根上だと思い込んでいた。だが、倒木と落ちた枝葉が積み重なった現状では尾根道より明らかに歩きやすい。その道を進んでいくと、標高570m付近で折り返し尾根に出た。そこは、行者道(横川行者道)との出合に近い平坦地であった。急峻な150m(標高差)をトラバースしながら緩く登るルートは見事で、こっちのほうが参詣道にふさわしいと思える。 慈覚大師(円仁)が印袋(はんぶくろ)を洗浄したと伝わる傍の洗袋泉(せんたいせん=「水飲」)は涸れているが、上部のスギは今も立派に枝を伸ばしていた。横川で見た草花などを下に掲載(2024.10.20)。 |