「京都再発見」のトレッキングで、国の名勝である雙ヶ岡(ならびがおか)と「御室八十八ヶ所霊場」を歩いてきた。近年の災害による被害が各所で目立ち、復旧作業ですっかり様子が変わっているところもあった。なかでも八十八ヶ所の御堂の荒廃が気になる。 法金剛院の西側から雙ヶ岡に取り付き、三ノ丘(78m)から二ノ丘(102m)を経て一ノ丘(116m)に至る。途中の露岩では子供たちが岩登りに夢中で、付近の幼稚園や保育園にとって絶好のフィールドを提供している。最高地点の手前には、明治時代に設置された右大臣清原夏野(きよはらのなつの)の墓を示す石碑が立っていた。現在の法金剛院に平安時代は山荘があったらしい。だが、その後の調査で雙ヶ岡は秦氏の古墳であることが明らかになっている。 仁和寺の西側から「御室八十八ヶ所霊場」の入口(第一番霊山寺)に移動し、順道で成就山をめざす。仁和寺第二十九世門跡だった済仁(さいにん)法親王が、文政10(1827)年に四国八十八ヶ所霊場の砂を持ち帰らせて巡礼道を再現したという。第四十一番の龍光寺は、花頭窓をつけた六角堂が特徴的だ。最高地点は第四十八番札所のある峰で、道中ではハギの花が咲いて初秋らしい空気に包まれる。 成就山から下り始めると京都市内から南部の眺望に恵まれる。鎖が設置された露岩や一部で登り返す区間もあり、そう簡単に巡礼は進まない。道標に従って戻ったり右や左に札所を回りながら、時間をかけて結願所の大窪寺まで降りた。梵鐘を突いて終了。二王門の前で解散する(2024.10.15)。 |