東お多福山と風吹(かざふき)岩をつなぎ、魚屋(ととや)道の一部を経由して阪急「芦屋川」駅まで歩こうと計画。入門者向の山登りなので、距離や時間だけでなくコースの歩きやすさも考慮した。 この山は六甲の山域では珍しい草原の山だった。時代とともに、人々の暮らしと山の関係が遠のいて笹や雑木に覆われる。危機感を持った地元や研究者の団体が、2007年からかつての環境を取り戻そうと活動を始めた。 「東おたふく山登山口」バス停を出発し、まず土樋割(どびわり)峠から山頂をめざす。水争いの歴史を伝える峠までの道路では、キクやアザミなど秋の草花が数多く見られた。山上のススキ原は環境の再生事業が継続され、明るく開かれた尾根が心地よい。 雨ヶ峠に着くと途端に人の姿が増えた。六甲最高峰へのメーンルートであることを実感する。休憩のため横池(雄池)に寄り道したが、池畔も大勢の人で賑わっていた。 午後もなお人通りが多く、交代で風吹岩に登る。午前より少し見通しがよくなったのか、淡路島の山なみが望めるようになった。魚屋道を深江の方に進まず、途中から芦屋川に向けて東へ徐々に寄っていく。蛙岩から一段下ると会下山(えげのやま)遺跡に着いた。弥生時代の集落跡らしく、傾斜の緩い尾根一帯が史跡として整備されている。ゲートを開閉して住宅地へ降りた。 この日は一日だけの体験者も一緒だったが、喜んでいただいた方があるいっぽう、問題も発生して課題を残す山行になる。事故や怪我なく終えられたのが幸いだった(2024.10.14)。 |