探山訪谷[Tanzan Report]
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 No.973【焼岳】
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左=田代橋から前穂高岳を望む  右=上高地側の樹林
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登路から望む六百山(左手)・霞沢岳(中央右手)の山稜
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峠沢下流と大正池(中景右手)を振り返る
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左=岩場に架かるハシゴ  右=峠沢上部から仰ぎ見る焼岳北峰
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左=焼岳小屋  右=ガスに包まれる笠ヶ岳・抜戸岳(中景左手は新穂高温泉)
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左=噴煙を上げる北峰  右=最高峰の南峰(左)と正賀池(北峰から)
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隠居穴(手前=1911年形成)と黒谷火口方面
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北峰・南峰の鞍部から見上げる噴煙と北峰
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左=梓川の下流方向を見下ろす(遠景左手は鉢盛山。最遠景右手は中央アルプス)  右=気象庁の火山観測施設(下堀沢源流)
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下堀沢源流から山上を振り返る(右は南峰)
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左=新中ノ湯ルートの樹林  右=中ノ湯温泉側の国道にある登山口
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 周辺を3,000m峰に囲まれた焼岳は、低いながらも特徴ある火山だ。1915(大正4)年の噴火(大正池火口)で梓川を堰き止め、大正池を造ったことで知られる(同年6月6日形成)。上高地を象徴する山岳として、北アルプスの中ではユニークな存在である。現在も噴煙や噴気があちこちで見られ、今春から火山性地震や地殻変動が激しくなって、一時は登山できるかどうか気を揉む日がつづいた。幸い7月から落ち着いたので予定どおり出かける。
 入山は、上高地帝国ホテルから田代橋を渡って峠沢左岸を登り、新中尾峠下部の岩場はハシゴで乗り越す。途端に樹林帯から亜高山帯・高山帯の風景に変わり気分が高まる。これから登る北峰が近くにあり、泥流が流れ下った荒々しい光景が広がっていた。中尾峠にあった焼岳小屋は、1962(昭和37)年の水蒸気爆発で廃絶し新中尾峠に再建された。
 旧峠との間に展望台があり、穂高連峰や霞沢岳の山稜が近い。残念ながら高峰群は雲がまとわりついている。付近に噴気孔があり、熱を持つ地面や露岩と臭気が活火山を表す。東側へ回り込みながら北峰の頂上に達した。
 最高峰は南峰だが、立入禁止区域なので北峰との鞍部から下堀(しもほり)沢の源頭を降る。火山らしいガラガラの斜面をゆっくり進み、2,270m付近に設置された火山観測の露岩を過ぎると平坦地になった。やがて緩やかな尾根に入り、針葉樹から広葉樹の林へ道がつづく。急峻になると、ほどなく安房(あぼう)峠の国道に出た。歩道で中ノ湯温泉に戻る。乗鞍火山帯に属する焼岳は、噴火の歴史や造形美に加え眺望のよさなど幅広い要素で成り立つ名山であった。
 旅館のロビーでは、穂高連峰と霞沢岳の山体が眺められ、ここで過ごすひとときもすばらしい。何度も腰を下ろして風光の変化を楽しんだ。今回は訪ねることができなかったが、梓川沿いに卜伝(ぼくでん)の湯(硫化水素泉)があるので、機会があれば訪ねてみたい(2024.8.4)。
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遠景は左よりジャンダルム・ロバの耳・奥穂高岳・吊尾根・前穂高岳・明神岳(T峰〜X峰)の山稜(中ノ湯温泉から)
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