笠ヶ岳は志賀高原のシンボルで、特徴ある溶岩円頂丘の山容が目立つ。たとえば、篠ノ井線の「姨捨」駅付近から眺めると、善光寺平を前に大きな姿が確認できよう。右隣に横手山が並ぶが、手前に位置するため230m余り低い標高差を感じさせないボリュームがある。地元では笠岳と呼ばれることが多い。 午後は帰途に着くため、熊の湯スキー場から笠ヶ岳北面の中腹を横断し、峠の茶屋から折り返して山頂をめざす。山頂には二つの笠嶽神社が祀られ、山ノ内町と高山村それぞれの系譜(御嶽信仰)があるらしい。 朝まで降っていた雨は止んだものの、山腹に霧がまとわりついて周囲の景観はまったく望めない。登山口にあたる峠の茶屋から下部は、時間とともに様子がわかるようになったが、上部は見通しが効かないままである。 段差が大きい階段とフィックスロープがつづく。オオシラビソやシラビソ・ダケカンバなど「笠ヶ岳希少個体群保護林」の樹木を仰ぎながら頂上に達した(二等三角点、点名=笠ヶ岳)。岩の上部と基部にそれぞれの方向を向いて祠がある。 往路の登山道の状態があまりよくなかったので、下山は県道「豊野南志賀公園線」で木戸池に向かう。道路の両側にはこの季節らしい草花が数多く咲いていた。平床からは笹原が広がり、「浅間・白根・志賀さわやか街道」(国道292号)の沿道は高原らしい風景がつづく。木戸池に着く頃から雲がなくなり、振り返ると笠のようなスカイラインが際立っていた(2024.7.3)。 |