ミヤマキリシマの群落を第一に考えていた雲仙岳。コースを歩くと仁田(にた)峠より標高の低いところでは、ピンクに染まる光景はほとんど見ることができなかった。かろうじて、普賢岳と妙見岳で綺麗な株のまとまりを確認できたが、美しい景観は国見岳に凝縮されていた。中腹ではキリシマツツジの朱色が点在しており、花と葉の大きさもヤマツツジほどはなく小振りである。どうも、ミヤマキリシマとヤマツツジの交雑種らしい。ただ、ミヤマキリシマでも朱色・赤色があるらしく、詳しく観察しないと判別は難しい。 全体を通して何より目を引いたのはテンナンショウの仲間だ。九州だけに知らない種類があって、キリシマテンナンショウ(ヒメテンナンショウ)・ウンゼンマムシグサと初めて出会う。ヒトツバツクシテンナンショウと思われる個体もあったが、色と斑紋が標準形と異なっておりよくわからない。そのほか、標高が下がるとオオハンゲやムサシアブミもあって、サトイモ科の分布状況はおもしろい。 道中ではウツギ・スイカズラやタツナミソウも多く咲いていて、植物は初夏の様相を示す。多くの花と遭遇して、「花の名山」といえる雲仙だった(2024.5.24〜5.26)。 |