天川村川合から弥山へ登る途中に栃尾辻があって、休憩地点としてよく利用される。そこから南西へ延びる支稜には天和(てんな)山や唐笠(とがさ)山が並び、これまで分割して登ってきた。天川中流域の栃尾山が未踏なので、弥山からの下山に寄り道する。 若い頃は坪内(つぼのうち)からのコースもよく使われたので、今でも踏み固められた道は健在だと思われた。ところが、小屋の建つ栃尾辻の西側にはロープが張られ、尾根に進入しないよう禁止措置がなされていた。確かに尾根道はやや不明瞭ながら、経験ある登山者ならまったく問題のない状況である。ところどころに付けられた『天理大学W.V.部』の標識が時代を映している。 「入谷ブナ・ツガ・ウラジロモミ希少個体群保護林」の景色を見ながら露岩のある細い尾根を降り、登り返したピークが栃尾山(点名=栃尾)だった。頂上の手前に見晴らしのよい場所があり、武士ヶ峯・高城山・天狗倉山などを前に金剛山・葛城山も望める。 坪内への尾根を降ると古いトラバース道に出合い、植林地を大平辻から集積場を見て北西に向かう。途中で右から作業林道が合流し、地形図の点線路を外れて尾根上を進む。末端近くの緩やかな区域では多くの道が錯綜していた。点線路から大きくズレたので東に振り、標識を確認してしばらく降ると今度は北へどんどん逸れる。谷を見下ろせるところで理由が判った。標高差で200メートル近くのヤマ抜け(崩落)が起こり、復旧工事の現場が目の前にあった。 坪内谷を降ると、天ノ川(てんのかわ=本流)が合流する北東側に経津主神(ふつぬしのかみ)が祀られていた。集落を通って天河大辨賤天社と来迎院にも立ち寄る。時間があるので、川を眺めながらバスが通る川合まで歩いた(2024.5.18)。 |