大峰山脈の舟ノ川と旭川に挟まれて、主稜から西へ張り出す支稜に七面山がある。南面の岩場を擁する姿が印象的で、特異な姿から七面山(第四十五靡)は大峯奥駈けの靡(なびき)のひとつになっている。また、魔の山としての伝説も残る。 十津川流域の最奥部にあるため、ながらく懸案だった一座であった。一般に五條市大塔町篠原(しのはら)から往復する場合が多いものの、奥駈けとの兼ね合いで主稜とぜひ繋ぎたい。 5月の連休後の好天時に行こうと考えコースの様子を確認していたが、出発直前になって舟ノ川沿いの道路が工事で通行止になった。またしても延期しなければならないかと道路情報を調べると、大塔町殿野(とのの)から高野辻へリポートにつづく道路で篠原へ行けることが判明し胸を撫で下ろす。 現林道の終点まで車が使えるので、アプローチに余裕ができた。対岸への徒渉地点から歩き始める。林道跡で1,075mの登山口まで進み、標高を上げると明星ヶ岳などが見えるようになった。露岩の混じるヤセ尾根を登ると、シャクナゲが目立ってくる。登下降を繰り返して七面山の西峰に着いた。 まず、槍ノ尾ノ頭を往復する。ササ原が広がるアケボノ平では、七面山南面の岩壁(「七面煤v)と仏生ヶ嶽の並ぶ見事な景観があった。周囲の7ヶ所から見ると、すべての場所で真向かいに見えることが由来らしい(七面石=江戸時代)。西峰に戻って、鎖場を降って東峰へ登り返す。こちらが最高地点で5メートル高い。 急峻な尾根はルートが不明瞭。支尾根へ入らないよう慎重に降り、ルンゼをトラバースして踏跡に出た。楊子ノ森への登りに変わると緩やかな地形になる。美しい樹林帯を登り切ると、八経ヶ岳はもとより山上ヶ岳や大普賢岳など北部の山々が連なっていた。奥駈道を北上し、宿泊する弥山小屋をめざす(2024.5.17)。 |