比叡山の山上で、他の植物に先駆けて咲く花がバイカオウレンである。毎年楽しみにしているのだが、今年は3月中旬に降雪があって1週間前でも10センチの積雪に覆われていた。26日の「比良八講」は、暦どおり「比良八荒(ひらのはっこう)、荒れ仕舞い」。午後に強風が吹いて、JR湖西線の列車も止まった。一転して、翌日は穏やかな春らしい天気に恵まれる。 晴天の週末を待って様子を見に出かけると、道端に白い花(萼片)が咲き乱れていた。伐採作業が一段落したエリアでは、以前にも増して数が増えている印象を受ける。また、種子が運ばれたのか、群生する新たな区域も確認できた。 この仲間には、ミツバオウレンもあって主に葉で区別することができる(ミツバオウレン=1回3出複葉。バイカオウレン=5小葉)。ミツバノバイカオウレンはもう少し標高のある山域に生息する。ウメの花にもっとも近い形状はこの種であろう。 もう一つが、十数年前に新種として認められたキタヤマオウレンである。京都府・滋賀県・福井県・岐阜県に分布し、比叡山にもあるとされる。特徴として、キタヤマオウレンの花弁(黄色・橙色)は楕円形(中心に向かってスプーン状に開く)で、バイカオウレンは円形。葉は3全裂と5全裂の両方があり、葉柄の不明瞭なのがキタヤマオウレン。短いながら付いているのがバイカオウレンという。雄蕊はピンクがかっているものの、参考写真では白いものもある。一見して判別するのは素人では難しいし、交雑種があるのかもしれない。 周辺ではショウジョウバカマとミヤマカタバミが咲き始めていた。まもなく色とりどりの花に囲まれる季節を迎える(2024.3.30)。 |