西吉野の柚野(ゆうの・ゆの)山は、「吉野三山」(栃原岳=金峯山/銀峯山=白銀岳/櫃ヶ岳=銅岳)の南側に位置する植林の山である。フクジュソウの花期に合わせて計画したが、南岸低気圧が通過した後の冬型気圧配置で、山頂からの展望はあまり芳しくなかった。 五條市西吉野町城戸(じょうど)から丹生(にう)川を遡り、桧川迫(ひかわせ)川に沿って津越(つこし)まで登る。稱名(しょうみょう)寺の門前に着くと、辺りは黄色や桃色の花々に包まれていた。まず、北側の斜面に群生するフクジュソウを見るため、ロープが張られたコースに向かう(奈良県天然記念物)。 門前に戻り、フェンスのゲートを開閉して墓地からモノレール横の山道を進む。628m標高点に八坂神社が祀られていた。維持・管理が難しいのか、鳥居は倒れたままになっている。尾根に出ると林道が通り、標識も設置してあった。北面をトラバースすると鞍部に着き、南面の山道に入る。 ほどなく「止メ山」の赤い紐を2回通過するが、その範囲はほんの数分だった。マツタケの収穫期はこの区間が利用できないので、違うルートを登る必要があろう。確かに、付近にはアカマツが何本も認められる。砦跡とされる平坦地で方向を南西に変え頂上へ着いた。 東側の樹木が伐られ、大峰山脈北部の山々が見えるはずだが、あいにく雪雲が次々と通過して高峰群の山容を望むことはできない。時間があるので1時間以上粘ってみたものの、かろうじて行者還岳が見えただけで終わった。 来た道を引き返し、林道を陰地(おんじ)に向けて降る。途中の道端に四等三角点があった。民家が現れると圓光寺の大きな甍が目に入る。後醍醐天皇勅願所と伝えられ、細かな装飾が施された山門(四脚門)などが美しい。一帯はウメやサンシュユ・フキノトウなどで彩られている。国道との出合にある城戸には、実現しなかった五條と新宮を結ぶ鉄道の橋梁とトンネルがそのまま残っていた(2024.3.8)。 |