探山訪谷[Tanzan Report]
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 No.911【三本杭】
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左=滑床渓谷の入口(万年橋)  右=万年橋付近の紅葉
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左=檜尾根の大木  右=御祝山
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左=群生するシャクナゲ  右=横ノ森の樹林(前方は小屋ヶ森)
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三本杭(中央)と手前右に横ノ森(小屋ヶ森から)
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三本杭頂上から望む高月山(左)と東高月山から郭公岳への稜線
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霧に覆われる四万十川流域(遠景左手に五在所ノ峯と堂ヶ森)
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「南予アルプス」南部を望む(遠景左は大黒山。最遠景左手に篠山、右へ瀬戸黒森の山頂が覗く。右手に観音岳。中景中央は譲ヶ葉森)
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吊尾根の樹林(前方は八面山)
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左=吊尾根の巨樹  右=八面山(右手は三本杭・横ノ森)
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大久保山から宇和海と権現山(前景右)を眺める(中景中央は熊ヶ峰。遠景中央に中ノ島・嘉島が浮かぶ)
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左=大久保山(中景中央は高月山。右へ東高月山と郭公岳が並ぶ)  右=鬼ヶ城山
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左=毛山  右=四本松
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宇和海と宇和島市街が近い(尻割山から。市街の対岸は九島と野島。左手に高島が見える)
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左=下山路から城山(宇和島城)を見下ろす  右=宇和津彦神社(宇和島藩一ノ宮)
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左から右に毛山・鬼ヶ城山・権現山の山稜(宇和島城天守から。撮影=2023.11.27)
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 伊予と土佐の国境にある三本杭(さんぼんぐい)に出かけた。この珍しい山名は、藩政時代の宇和島藩・伊予吉田藩・土佐藩の交点(横ノ森)に標柱が立てられたことによるものらしい。現在の三本杭はひとつ北側のピークだが、目立つ大きな山容からこの峰に名称が定着したものであろう。目黒川(四万十川水系)へ流れ出る滑床(なめとこ)渓谷が北面にあり、滑床山でも通用する。その流域を中心にブナ林が広がり、シャクナゲも全山に分布する。
 四国南西部の独立した山域だが、「鬼ヶ城山系」「南予アルプス」の呼称で親しまれてきた。最高峰は高月(たかつき)山で、すっきりした姿が特徴だ。篠(ささ)山をはじめ中南部の山はいくつか登ったことがあり、北部エリアが長く宿題になっていた。
 宇和島から日帰りで多くの峰に登るため、愛媛県松野町から滑床渓谷に向かい、三本杭・八面(やつづら)山・鬼ヶ城山へ縦走する。最後は四本松から市内の宇和津彦神社に下って、近くの見どころを訪ねる予定である。
 川霧に覆われた「松丸」駅を早朝に出発し、万年橋の登山口から急坂を登る。御祝(おいわい)山の手前から雰囲気のよい自然林が広がる。山名は旧称(大岩山)の転訛とされる。檜尾根は大きなブナやヒメシャラが林立し、両側はシャクナゲが群生する。三本杭が間近に見えると横ノ森・小屋ヶ森の分岐点で、まず二つのピークを往復した。草地は植生の再生事業が行なわれているようで、広い範囲がネットで囲まれている。フェンスを開閉して出入りした。
 樹木のない三本杭の山頂は360度の大展望。だが、発達した低気圧による強風と寒気に伴う雲で近くの山しか望むことができなかった。天気に恵まれると、九州の山々まで眺めることができるらしい。
 八面山までの稜線は、自然度の高い見事な風景がつづく。コース中のハイライトといえる区間で、途中には笹原が復活しはじめた区域もあった。すばらしい眺望の大久保山から「猪のコル」に降り、鬼ヶ城山へ登り返す。この付近一帯もシャクナゲが群生する。各ピークの間にある鞍部には動物名が付されているが、「熊のコル」はともかくどれも本来の地名なのだろうか。
 毛(け)山で1,000m級の山は終わり、尻割(しりわれ)山からリアス式海岸の宇和海と宇和島市街を見下ろす。その後は、荒れた林道・作業道がつづく植林地を宇和津彦神社の横(野川登山口)に下山した。海辺から数キロの距離に1,000mを超す山が連なる地形は全国的にもそう多くない。足に堪える道だった。
 市内では、天守が現存する宇和島城(国重文・国史跡)をはじめ、藩主=伊達家の墓所がある等覚寺やイブキ(国天然記念物=ビャクシン)が並ぶ八幡神社などを訪れた(2023.11.28)。
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左=龍華山等覚寺  右=初代藩主=伊達秀宗の墓(伊達家西墓所)
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左=八幡神社社殿とイブキの古木(撮影=2023.11.29)  右=宇和島城天守(撮影=2023.11.27)
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