探山訪谷[Tanzan Report]
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 No.910【白鬚岳】
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左=林道終点にある小祠  右=カツラの大木(東ノ谷)
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東ノ谷の上流に懸かる滝と巨樹
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左=滝の右岸上部にある岩清水(最後の水場)  右=崩れた斜面をトラバース
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木々の間からうっすらと大峰の主稜が見える(左手の大普賢岳から右へ竜ヶ岳・山上ヶ岳が並ぶ)
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左=小白鬚(頂上)  右=ヤセ尾根のトラバース
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大台ヶ原山(左から日出ヶ岳・三津河落山・経ヶ峰・伯母ヶ峰など)と中景中央左に1,131.9m峰(切原)からショウジ山(中景右)の尾根
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台高山脈の山々(遠景中央右は登尾・戸倉山・高塚の山稜。最遠景左手に薊岳・木ノ実ヤ塚と国見山。再遠景右は主稜)
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V峰付近の尾根から白鬚岳(本峰)を望む(遠景右は台高山脈主稜の山ノ神ノ頭付近)
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左=白鬚岳頂上  右=林床を埋めるヒカゲノカズラ
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白屋岳(遠景左手)とジョウブツ(両佛山=手前右手)。中景の谷筋は中奥川流域
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右手の大普賢岳から左に小普賢岳・日本岳への稜線が下る
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小白鬚(中景右)と背後は雲に包まれる大峰山脈
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左=白鬚岳をあとに岩尾根を慎重に進む  右=岩場(トグラ)と急斜面がつづく1,046m峰の下り
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左=神之谷  右=北和田への道
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 ヤマヒルを心配しなくてもよい季節になったので、台高山脈の白鬚岳へ出かけた。かつて、北股川支流の柏原谷を溯行してビシャクラ谷の左岸尾根を降りて以来である。時間の制約があるなかで、標高差1,200m以上のコースはなかなか厳しい。最近の山行記録を探すと、柏原辻から1,131.9m峰(点名=切原)・ショウジ山を周回する報告が多いものの、私たちの足ではちょっと難しいと思われる。そこで、今回は神之谷(こうのたに)の東ノ谷から登って小白鬚に達し、ヤセ尾根を登下降して二等三角点(点名=神之谷)の山頂を往復する計画にした。
 東ノ谷のゲートから林道をしばらく進むと小さな祠があった。ここから谷沿いの山道が始まる。谷中では取水堰や葉を落としたカツラの大木が目立つ。上流に来ると岩が現れ、水量の少ない滝になっている。手前の右岸から大きく高巻く。岩場の下は、上から水が滴り落ちていた。崩落した斜面を登り、いったん支尾根に出たのちトラバースして谷筋まで戻る。体重をかけると動く土砂もあって地面は安定しない。植林地の支尾根を、喘ぎながら登って白鬚岳の西尾根に出た。
 急登をこなして小白鬚に来ると自然林も広がって気持ちがやすらぐ。雲が多いので大峰山脈ははっきりしないが、大台ヶ原山の方向はなんとか望むことができた。まずは大きく下って、ヤセ尾根の四つのピークを登り降りする。岩場があるので足場を確認しながら進む。V峰を越えると白鬚岳(本峰)の鋭い山容が目の前にあった。なかなか刺激的な姿である。強くなった風に煽られないようゆっくりと登頂。
 三角点標石の横には今西錦司の1,500山記念碑が立つ。なお、現地の標識には白髭岳を使っているものもあった。北側は雲が低くて遠くまで見通せないが、大峰の大普賢岳はなんとか輪郭を捉えることができた。ときおり日射しが戻ったものの、風が強いのでW峰との鞍部まで戻って休憩する。
 東ノ谷コースの分岐まで慎重に行動し、下山は神之谷への尾根コースに変更した。地形図を見ると、等高線が詰まった箇所と尾根の細い部分があるものの、全般に尾根筋の方が安全だと判断する。今ではあまり歩かれないルートだが、登山地図に実線が記されているのも選択の理由である。1,046m峰の南西斜面(標高差80m)にはロープが張ってありルートは明瞭。下部にある石灰岩の岩が大きいので助かる。地形図の細い尾根は岩稜ではなかった。植林帯を866m標高点までスムーズに進む。広くなった尾根と斜面は伐採地で、明確な作業道がつづく。最後は集落へ向けて一直線に降り、給水施設が現れると緩い斜面になった。家々の間を通って墓地のある車道に降り立つ。北和田の集落から吉野川を渡って北和田口のバス停へ。予定どおり7時間の山行だった(2023.11.24)。
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吉野川と柏木の集落(北和田口から)
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