探山訪谷[Tanzan Report]
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 No.904【中八人山】
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左=池郷川(池原)  右=小又谷に懸かる滝
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左=石ヤ塔(岩場全景)  右=林道周辺の樹林
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石ヤ塔(展望所から)
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中八人山への稜線(証誠無漏岳付近)
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朝日に照らされる南八人山(中央)・中八人山(右手)・西八人山(右)の山稜
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行仙岳(左)・笠捨山(中央)・槍ヶ岳(右手)・地蔵森(地蔵岳=右)の大峰山脈主稜
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開けた草地から北西方を望む(遠景左は荒神岳。中央に陣ヶ峰など奥高野の山々)
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熊野灘。中景のシルエットは転法輪岳〜行仙岳の稜線。遠景は大蛇峰(左)・天神丸山(中央右)・久留米木山(右)
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左=草に覆われる樹林帯の林床  右=中八人山頂上
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十津川流域の山々(前景は北谷。最遠景左は大塔山系。遠景中央は果無山脈。前の右手に大峠山。中景右手は行仙岳)
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神納川流域の山々(遠景左手は大峠山。中景左に行仙岳。遠景右手は崖又山)
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左=南八人山頂上  右=西八人山(左)・中八人山(右)
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辿ってきた稜線を振り返る(中景左手は涅槃岳。雲に覆われた遠景は大台ヶ原山と右に台高山脈南部の山々)
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南八人山(遠景右手は果無山脈。中八人山との間から)
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西八人山近くから望む子ノ泊山(遠景左)と烏帽子山・那智山(遠景右手)方面
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左=鮮やかなシロヤシオの紅葉  右=宮ノ谷ノ頭(頂上)
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左=石佛山(南峰から)  右=下山した滝谷橋(右手にあるモノレールの車庫前が登山口)
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滝川の流れ
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左=伴林光平の歌碑  右=風屋ダムと十津川
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 念願の中八人(なかはちにん)山へ行ってきた。大峰山脈の証誠無漏(しょうじょうむろ)岳から西に張り出す支脈の主峰である。稜線の北側は十津川(熊野川)の支流=滝川流域で、南側は芦廼瀬(あしのせ)川が西へ流れ出す。川沿いの林道を遡って取り付くのが一般的だが、大峰主脈とぜひ繋ぎたかったので東側の下北山村から入山した。
 北山川支流の池郷(いけごう)川は、困難なゴルジュで知られる名渓だ。十津川水系の二つの渓流も大峰を代表する河川。なかでも、白谷林道(現在の国道425号)ができる前の芦廼瀬川は、溯行が困難な幽谷として訪れる人は限られていた。コースはこれらの流域に跨がる。
 池原の集落から池郷川右岸の林道(小又池之郷線)で上流をめざす。すぐに小又谷を大きく回り込むが、橋の下流には見事な滝が懸かっていた。さっそく、大峰らしい造形と構成に迎えられ気持ちが弾む。中流の狭まった区間の対岸に石ヤ塔があり、進むにつれて徐々に全貌を現す。大又谷右岸の支谷を回りながら持経(じきょうの)宿で主脈に達した。時間に余裕があるので、阿須迦利(あすかり)岳から証誠無漏岳まで足を延ばす。
 前日の前線通過後は、弱い冬型の気圧配置になる予報だったので、尾根から南斜面に下った場所でツエルトを張った。早めに夕食を終えて横になったが、この頃から北西風が強まりゴウゴウと音を立てて吹き抜ける。ときにはジェット機の轟音に似た金属音まで聞こえる。ツエルトの生地がはためく音もうるさい。ただし雲は少なく、月齢13〜14に照らされた山々のシルエットが晴天の夜空に浮かび上がる。影を落とす樹影の動きに目が冴え、まんじりとせず一夜を過ごした。
 翌朝は足元が見える時間になって出発する。「北白谷山」(1,340m峰)と呼ばれるピークから奥八人山を経て中八人山まで、広葉樹林と草地が広がってどこも快適に歩ける。最後は露岩のあるヤセ尾根と急登をこなして頂上に到達した。周囲は自然林だが、西面の北谷流域を見ると広範囲に植林地もある。紀伊半島は、やはり木材の生産地だと認識をあらたにした。
 最高峰の南八人山を往復し、西八人山にも寄ってから宮ノ谷ノ頭へ向かう。だんだん植林地が増えてきて、石佛山から滝谷橋へ下る支尾根には、モノレールが途中から敷設されていた。標高差800mの急峻な道を一気に降る。
 予定より早く下山できたので、奥里の集落から風屋ダム近くまで山里の風景を心に刻みながら歩く。下地(しもじ)には天誅組の参謀・記録方だった伴林光平(ともはやし みつひら)の歌碑が立ち、高原(たこはら)に至る吊橋とトンネルの通学路(村道=栗平川森林鉄道の軌道跡)もあった。秋の風情が漂う道端ではアザミやキクなどが目立つ(2023.10.28〜10.29)。
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ギョウジャアザミ
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