何年かぶりに六甲前衛の甲山を歩いてきた。講座は2ヶ月の夏休みあけだが、残暑というよりこの日も夏本番さながらの一日。継続して山登りをされていれば問題はないものの、長期のブランクがあれば暑熱順化ができていないケースもあり得る。なにより、熱中症に対する注意喚起をして出発した。 コースは阪急「仁川(にがわ)」駅から仁川に沿って地すべり資料館に向かい、甲山森林公園に入って展望台へ。中心エリアで昼食ののち、西宮市立自然の家から甲山に登頂。南側の神呪(かんのう)寺と甲山八十八所巡礼道に立ち寄って、阪急「甲陽園」駅までの約8キロメートルを予定している。 1995年の阪神淡路大震災で発生した大規模な地滑りで、家屋や人命に大きな被害が発生した。地すべり資料館は、その後の対策工事や発生のメカニズムを伝える施設である。上ヶ原浄水場(神戸市水道局)の傍で神呪寺への参道に出ると、十一丁石が立っていた。近くには、六十六部供養塔も残る。東入口から森林公園に入り、まず仏性ヶ原の採石場(丁場)跡を見に行く。タガネの跡が残る石材が点在し、展望台にかけて数多く確認されている。担当したのは鍋島藩とされる。ヤマモモの植えられた彫刻の道で休憩し、公園を出てザレ道を甲山に登る。登山口には甲山の成り立ちを解説したパネルと岩石が展示されていた。鎌倉時代に神呪寺を再興したとされる頼朝の墓(五輪塔)を経て、ジグザグを繰り返すと汗が吹き出す。 神呪寺へ直接降りるルートは、蜂の巣があってこの日は通行止め。仕方がないので五輪塔まで戻りトラバース道で寺院に向かう。仁王門の下で一丁石を確認し、ミニ巡礼道を少し歩いて寺院と山容を眺めた。あとは、甲陽園の住宅街を道標を頼りに駅まで降る。何度歩いても新たな発見がある甲山。多くの展望ポイントと出合えてなかなかよかった。体調を崩す方もなく、無事解散できて引率者ともどもホッとする(2023.9.4)。 |