笠ヶ岳の山稜は、双六谷(金木戸=かなきど=川)・打込谷を溯行してから抜戸(ぬけど)岳までの区間しか歩いたことがない。鏡平にも寄りたかったので、弓折(ゆみおれ)岳を含めてコースを計画した。 双六岳は2019年に来たが、樅沢岳から西鎌尾根を槍ヶ岳に向かったので、尾根の様子を見ることができたらと期待もしていた。残念ながら、この日の天気は悪化の方向で、いつから風雨が強まるかがカギになる。 黒部五郎小舎を出発した時はガスに覆われていた。だが、三俣蓮華カールに入る頃から日射しを感じられるようになった。やがて、近い山稜がはっきりわかるようになる。ただ、南西側から吹き上がってくる雲に何度も覆われ、風も強いのでウィンドブレーカーが必要。 双六池から弓折岳のコースに入ると、強風の間隔が開いて左俣谷側はクリアになった。しかし、槍ヶ岳や北穂高岳などの高峰群はまとわりつく雲に包まれている。三等三角点の頂上(中平)で粘ったものの、晴れるチャンスはないと判断し鏡平へ向かう。予約していた鏡平小屋で休んでいると、乗鞍岳・焼岳方面が急に見えなくなった。ならば、雨が降る前に下山しようとわさび平小屋への変更を依頼する。 下降をはじめると、シシウドヶ原へ着く前に雨が降り始めた。濡れた石と溝のように水が流れる小池新道を慎重に下山する。小屋でゆっくり風呂に入れるのが嬉しい。夜はいっそう強い雨となった。 未踏の弓折岳に登れ、笠ヶ岳への山稜も確認できた。迫力ある槍ヶ岳〜穂高連峰西面は望めなかったが、懸案事項をひとつ減らせたので満足だ(2023.7.19)。 |