10年ぶりに「若狭富士」で知られる青葉山へ出かけた。福井県側の青郷(あおのごう)から中山寺を経て東峰へ登り、西峰から京都府側の松尾(まつのお)寺へ下山する10キロメートルほどのコースである。 東の海辺から見上げると鋭い三角形をしており、誰もが登ってみたくなる山容は美しい。南西からは双耳峰になり馬耳山と称す。北側の内浦では双子山や鋏(はさみ)山とも呼ばれる。樹林や植生も豊かで、夏の山頂に咲くオオキンレイカ(オミナエシの仲間)は希少種である。山上からの展望も絶佳であり、山中の古刹を含め構成要素のすばらしさは名山と呼ぶにふさわしい。 中山寺の門前から「近畿自然歩道」で東尾根の展望台に上がると若狭湾のリアス式海岸が広がっていた。金毘羅神社の小祠を過ぎるとブナ林になり、馬ノ背を経て東ノ権現(東峰=最高峰)へ達する。岩場にはミヤママンネングサの黄色い花が張り付くように咲き、イブキジャコウソウのピンクと色を塗り分けている。 西峰への稜線は集塊岩が目立ち、間を縫って梯子とロープが連続する。南面をトラバースする岩からは舞鶴の街と海が近い。大師洞(窟)を潜って西ノ権現に着くと眺望がよくなり、頂上からは内浦湾をはじめ遠く丹後半島まで目にすることができた。 府県境の下山路も梯子とフィックスロープが何箇所かあり、柱だけが立つ鳥居でやっと傾斜が緩くなる。修理工事中の本堂の横から仁王門に出て、西国三十三所の巡礼道を松尾寺駅まで歩いた。 この日は気温と湿度が高く、登路と山頂で体調を崩す方が発生。体の馴化ができていない時期だけに、経口補水液や瞬間冷却剤は必携品である(2023.6.18)。 |