探山訪谷[Tanzan Report]
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 No.857【江笠山】
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左=神懸峠  右=峠の地蔵祠(福知山側を振り返る)
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左=キランソウ  右=ミツマタ
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大生部兵主神社(薬王寺)
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左=江笠山登山口(薬王寺)  右=オブジェのような被害木(薬王寺川源流)
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薬王寺川流域(中景右手が但東町薬王寺)を見下ろす(遠景左は三岳山。左手が龍ヶ城。中央は伏見山と633.2m峰=登尾峠。右は居母山)
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江笠山頂上(遠景は左から大江山・赤石ヶ岳)
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大江山連峰(左から千丈ヶ嶽・赤石ヶ岳)
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京都側の落葉広葉樹林
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オオイワカガミ
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大江山連峰(左から鳩ヶ峰・千丈ヶ嶽・赤石ヶ岳・536.4m峰=仏谷)
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仏岩
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仏岩から仏谷の谷筋(前景)を見下ろす。中央に天ヶ峰。遠景右は鬼ヶ城の山稜
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仏岩から江笠山を振り返る
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左=コバノミツバツツジ  右=淡い色彩のオオイワカガミ
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三岳山(仏谷)
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左=巡礼道の石仏  右=「南無観世音菩薩」碑(元禄8年)
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深山川上流の与謝峠方面を望む
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左から赤石ヶ岳・千丈ヶ嶽。間の鞍部は加悦(かや)峠(坂浦で)
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 大江山連峰の赤石ヶ岳から西へ、与謝(よさ)峠を挟んでつながる江笠山は、与謝野町・福知山市(雲原)と豊岡市(但東町)にまたがる山だ。この付近の山稜ではもっとも高く、南側の神懸(かんかけ)峠と標高480m前後の山腹をトラバースする西国三十三所観音巡礼の道(丹後街道)が横切ることでも関心を持っていた。書寫山圓教寺(第二十七番)から成相山成相寺(第二十八番)への道筋にあたる。
 参考のため山行記録を検索すると、薬王寺峠近くの登山口から登るものばかりで、この山のよさや信仰の道を考えると物足らない。ここは、やはり京都側の落葉広葉樹林や仏岩と一緒に歩きたい。いろいろ行程を考えた結果、神懸峠を出発して旧道を大生部兵主(おおいくべひょうず)神社へ降り、薬王寺川を遡って登山口から入山。山頂から府県境稜線を南下し、仏岩に参拝してから仏谷へ出ることにした。あとは時間次第だが、巡礼道と周辺の山々を眺めながら街道を歩こう。
 神懸峠までは順調に来ることができたものの、薬王寺への旧道はほとんど廃道になっていた。田圃跡にイネ科の草が生い茂る。放棄されてかなりの年月が経つようだ。山裾に広がる牛頭(ごず)天王を祀る大生部兵主神社の神域は好ましく巨樹も多い。薬王寺川の本流と出合い、冬期の通行止ゲートを通って登山口に高度を上げるが、地元の車両は普通に通行していた。
 谷沿いの山道では、雪による被害か倒木を何本も見る。なかには芸術作品を思わせる裂け方をした木もあった。南側の尾根へ取りつく手前に小滝が懸かり、尾根へ出るとオオイワカガミの群落が行く手に広がる。明瞭な道は稜線までつづき、ほどなく頂上に達した。
 新芽が出始めた東面の林は美しく、樹間から大江山の山稜がたおやかに波打つ。地形図で小ピークを確認しながら仏岩への尾根の分岐に着いた。西面はほとんど植林地だったが、林床にはオオイワカガミが次々と現れる。まだ時期が早いのか、開花しているのはごく一部だった。
 その後も群生地がつづき、明るい広葉樹林のため快適に歩ける。ツツジの鮮やかな花に包まれると仏岩の上部に着いた。大江山がいっそう近づき、麓の集落が手に取るほどの距離となる。慎重に下へ降りると二つの岩に挟まれて祠が建っていた。麻呂子(まろこ)親王にまつわる伝説の舞台である。鬼退治を祈願して七仏薬師を刻んだとされる。大江山一帯には、ほかに日子坐王(ひこいますのきみ)の土蜘蛛退治伝説や「酒呑童子」で有名な源頼光の鬼退治伝説がある。落葉に覆われた参道は、深山川にある水道施設の傍で林道へ降り立つ。
 仏谷にある十二社大権現神社から旧道を下流へ。途中には巡礼者の安全を祈願する地蔵尊や供養塔が残り、南(な)島から坂浦まで行って山行を終えた。自然と人文的要素が凝縮する一日だった(2023.4.13)。
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薬王寺川上流から見上げる江笠山
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坂浦の金刀比羅神社から望む江笠山(遠景中央)。中景左は639.5m峰=与謝。中景右は536.4m峰=仏谷
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