養老山地の最高峰=笙ヶ(しょうが)岳は、養老町側から登るのが一般的だ。それではおもしろくないので、『大垣山岳協会』の山行記録を探してみたら上石津町側からのコースがいくつかあった。さすが地元である。大洞谷や西尾根などが載っている。 大洞谷は沢通しに行かないかぎり林道の距離が長いだけなので、下多良の東山集落から西尾根をトレースしよう。関ヶ原からのバスが午前は一之瀬までしか行かないので、牧田川に沿って多良峡を歩くことにする。東山林道の取付地点まで1時間かかったものの、地域の景観や空気を感じることができた。 尾根を登り始めると炭焼きか山仕事用の道が深く掘り込まれ、雑木林の中を折り返しながらつづく。初めての高圧送電線鉄塔手前で巡視路と合流し、西部幹線215鉄塔から展望を楽しむ。東山の四等三角点を越えると二番目の送電線鉄塔(28)と出合い、標高が上がっただけに見える山が増えてくる。西尾根の後半になると傾斜の強い箇所が数箇所あって、ふくらはぎがこたえる。標高650m付近からは北面が植林地になり、歩きやすいところを選んで登る。 標高差670mを1時間40分で笙ヶ岳の四等三角点に達することができた。周囲は落葉広葉樹の疎林で、鈴鹿と雰囲気が似ている。ここで、ゆっくり昼食タイムをとった。東峰から裏山へ向かい、見晴らしのよい裏山頂上で鈴鹿や奥美濃の山々を眺める。行平山を往復し、表山(三等三角点)を経て東尾根を降る。なかなか美しい樹林がつづき、眼下の平野が近づいてくる。石灰岩が散らばる尾根と斜面では、春の花が咲き始めていた。 よく踏まれた山道を養老ノ滝の道路へ降り立ち、元正天皇の万葉歌碑や孝子伝説「源丞内」の碑に寄り道しながら養老駅へ出る。水辺にはバイモの花が多く咲いていた(2023.3.16)。 |