探山訪谷[Tanzan Report]
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 No.847【白馬山】
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桂木峠の旧道にある道標(「あた川」や「かねまき」「わかやま」を示す)
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峠道から川原河を見下ろす
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白馬山脈西部の山稜(最遠景中央は小山)
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清冷山(遠景中央左)
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矢筈岳(中央)
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左=高野辻(切通しの左側上部に「かうや=高野」道の古い道標が立つ)  右=滝尻(757.6m)の頂上
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左=風車群が目立つ白馬山脈  右=白馬山の頂上
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白馬山脈東部の山稜(中央左は城ヶ森山)
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稜線の樹林
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振り返って見た白馬山
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林道(季白馬線)から望む清冷山(左手)と矢筈岳(右手)
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白馬山(左)から右に久保ノ峠(たわ)への稜線
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左=法事峠の旧道  右=季集落の背後に祀られた小祠
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季集落の民家
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 有田川水系と日高川水系を分ける白馬(しらま)山脈は、護摩壇山と笹ノ茶屋峠の間から日ノ御崎まで連なる大きな山なみである。白馬山は中部に位置する盟主だが、東部には1,000mを超える山々が連なる。紀伊半島の奥深い場所だけに、どこから登るにしても時間がかかる。
 今回は旧美山村(現日高川町)の川原河(かわはらごう*)から長畝(ながうね)越で高野辻に達し、山頂から久保ノ峠(たわ)まで主稜を東に向かう予定だ。下山は法事(ぼうじ)峠の旧道に出たあと、季(すもも)の集落から愛川(あたいがわ)に沿って初湯川(うぶゆかわ)まで歩くつもりでいる。
 2011年の台風12号による最高水位を示す碑(紀伊半島大水害)の前(日高川町美山支所庁舎)から出発する。皆瀬(かいぜ)から桂木峠の旧道に入り、紀伊美山テレビ中継局跡を経て長畝越の峠道を伝う。城山(558.6m)のほか、幾つものピークは巻くようにつづいて歩きやすい。ただ、ところどころで大きな倒木が道を塞ぐ。古くは、有田方面から龍神温泉に向かうルートのひとつだったようで、大正時代まで盛んに使われた。
 高野辻にも古い道標が立つが、林道の敷設で尾根が削られ歴史的な趣はまったくない。滝尻の四等三角点を踏み、「紀陽の森」の標識で道路に降りる。再び山道に入って主稜から外れた白馬山の頂上へ。樹間から高野山方面がわずかに見えた。
 主稜まで戻って東に向かうと、左手は雰囲気のよい落葉広葉樹林が広がっている。道路へ出る直前で、かろうじて山頂部を見ることができた。愛川へ下る季白馬林道を利用するが、できれば法事峠からの山道を利用したい。進んでいくと、中腹で木材を満載したトラックが停車する伐採現場に出くわした。残念だが舗装路を歩かざるを得ない。林道が東側へ迂回する地点から尾根を降り、最後は旧道を利用して季集落の上部にある小祠へ出ることができた。自然林と植林の境界に明瞭な道がつづく。
 時間的に厳しければ川原河へ出てバスで移動しようと考えていたが、余裕があるので車がほとんど通らない初湯川の美山温泉まで歩く。
  (*行政や停留所名は「かわはらごう」だが、一般的な呼称は「かわらごう」)

 日高川へ入山する前に、御坊市の市街を少し散策した。地名の語源になった日高御坊(日高別院)と寺内町はぜひ訪れたかったし、熊野古道(紀伊路)の風景も気になっていた。江戸時代の西国三十三所の巡礼者は、日高御坊前の東町を北上し湯川氏開基の法林寺と湯川子安神社を経て道成寺に参拝したらしい。かつての繁栄の名残りをとどめる風景に、落ち着くひとときを過ごすことができた(2023.3.11)。
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左=西本願寺日高別院  右=東町の町並み
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左=堀割が残る湯川氏の小松原館跡(湯川子安神社)  右=大クスノキ
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