和歌山県内で最長・最大の流域を誇る日高川(二級河川)は、紀伊半島の地質と複雑な地形を反映して蛇行を繰り返す。御坊の河口から護摩壇山近くの源流まで景観は変化に富み、県中部を代表する河川だ。上流は白馬(しらま)山脈と果無(はてなし)山脈が東西に走り、山深い印象をいっそう強める。 真妻山に登った日は御坊市内で泊まり、翌早朝に出発して日高川町へ向かう。中流にある小釜本(こかもと)は旧中津村にあり、中心地の西原(本郷)からコミュニィティバスを利用する。 弓弦をかけるための溝(矢筈)に似た山容が名称の由来で、山上は岩稜のアップダウンがつづく。谷筋と中腹までは植林地が多く、林道が発達しているのでアプローチは容易である。鷲ノ川沿いに上流をめざし、土場跡上流の登山口から取りつく。階段の多い道だが、傾斜が緩くなると歩きやすい山道になる。上部は岩場が次々と現れ、鎖が設置されているところもある。シャクナゲが出てくると頂上は近い。昨日同様の好天に展望を楽しむ。内陸へ入ってきたため、白馬山脈の山稜がより近くなった。 北西の751m峰に田城城跡がある。江戸時代の『紀伊続風土記』に玉置氏の屋敷跡があると記されるが、時間の制約があるので諦めた。往路を戻り、鷲ノ川ノ滝と観音堂前に立つ「あら鷲の雨雲はふく風はやみ岩きる滝の音どよむなり」碑に寄る。田尻付近ではウメの花が日光に輝いていた(2023.2.17)。 |