神武天皇が国見をしたとされる国見山(御所市)を訪ねたいとかねがね思っていた。中腹には瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を祭神とする国見神社があり、周辺は古墳や古代からつづく道など歴史的に興味深い要素が集まる地域である。時間の許す範囲で、見どころを繋ぎながら市尾(いちお=高取町)から御所(ごせ)まで歩く予定だ。なかでも、茅原(ちはら)にある吉祥草寺(きっしょうそうじ)は役小角(役行者)の生誕伝説で知られる寺院だけにぜひ立ち寄りたかった。左義長が有名である。 市尾墓山古墳と天満神社の隣にある市尾宮塚古墳は地元の豪族(巨勢=こせ=氏)のものらしい。さいわい後者では石室に入ることができた。古代の紀路(きじ)を受け継ぐ街道から曽我川を渡って今庄(御所市)に向かい、国見神社の参道を登る。山城跡の国見山山頂は明るく開けていて昼食時間とした。風がないので春らしいひとときを過ごせるが、樹木が成長して今は国見が難しい。 急坂を降って原谷の行者堂に出ると、ブドウ畑の彼方に音羽三山が姿を現す。掖上(わきがみ)かん子(す)塚(づか)古墳から日本武尊白鳥陵に寄り道する。今度は西側に金剛山から二上山の山なみが横たわり、なかなかすばらしい景観が展開していた。 吉祥草寺までの間で、南家住宅(登録有形文化財)・孝安天皇陵・孝安天皇社・金毘羅神社に寄り道する。地蔵堂から正面の参道を境内に入って拝観。その後は落ち着いた町並みを豊年橋に出て、保護されているサイカチ(マメ科の落葉樹)を見る。御所まち高札場跡までくれば駅は近い。「掖上の道」「秋津洲(あきつしま)の道」ハイキングはなかなかよかった(2023.2.6)。 |