中山仙境(なかやませんきょう)は「夷耶馬(えびすやば)」とも呼ばれ、耶馬溪とよく似た地形が特徴である。岩質は凝灰角礫岩。「耶馬」は岩場・岩崖を表す。標高は低いものの岩峰を連ねる岩稜が魅力的で、ぜひ修行場を歩こうと思っていた。 降雪のもと、国見温泉から金ヶ峠を越えて夷谷の上坊中(かみぼうちゅう)に降りてくると、目の前に岩峰群が姿を現した。夷谷耶馬展望所にも寄ってみたが、再び雲に覆われ姿を隠す。では、先に岩稜歩きをしようと霊仙(れいせん)寺へ向かって道路を下る。 夷農村公園から川を渡って入山。尾根に出てしばらくすると、鎖場のある岩場がつづく。谷を挟んだ対岸も同様の地形で、雪のかぶる岩場が気持ちを高める。石仏を拝しながら進むと無明橋(むめいばし)が架かっていた。石材二本を拝み合わせに並べたもので、雪が載っているためスリリングだ。最高峰の高城(たかじょう)までにいくつも小ピークがあり、その都度登ってみる。 ルート最後のピークから岩場を降ってトラバースすると、隠洞穴(かくれうと)に出た。石仏を拝み、谷へ降りて傾斜が緩くなると恵比寿神社近くの下山口に降り立った。短時間だが、なかなかすばらしかった。東夷の六所神社・実相院・霊仙寺に寄り、竹田川下流の新竹田橋まで歩く。多くの寺院に立つ国東塔は宝塔の一形式だが、塔身の首部に納経のための穴があり、蓮華座(れんげざ)や反花(かえりばな)の台座があることで区別される。 遠ざかっても、景勝地ならではの特異な風景が印象的だった(2022.12.24)。 |