国東半島2日目は、比叡山延暦寺の「不滅の法燈」を守る文殊仙寺にまず参拝し、背後の文殊山から熊ヶ岳・千燈(せんどう)岳を経て不動山まで縦走する計画である。「六郷満山」の中心エリアだけに、修行の痕跡や寺院跡のほか、地域を構成するいろいろな要素を十分に体感したいと考えていた。 昨夜半から今冬一番の冬型気圧配置になり、国東半島の平地でも積雪に見舞われる。しかも西風が強く、低山ながら吹雪に遭遇する。ノロノロ運転で寺院前まで来れたので、あとは自分の足でなんとかなりそうだ。積雪は5〜10センチほど。風対策さえすれば山中の行動に問題はない。 谷を離れ急登をこなすと、平坦で広い文殊山の山頂に着いた。ちょうど雲が切れて東面を望むことができる。水谷峠に向けてコースを確かめながら降り、「金毘羅の景」にも立ち寄った。見通しがよければゴロタ平にも行こうと思っていたが、完全に雪雲の中で視界は悪い。 熊ヶ岳の尾根筋も岩場がつづく急斜面。風に煽られないようスタンスを確かめつつ行動する。千燈岳との鞍部で明瞭な登山道と出合った。『国東半島峯道ロングトレイル』のコースで、標識や階段が設置されている。修行場を巡る「峯入行」をベースに造ってあり、五辻不動尊まではそのルートを辿る。 時おり青空が覗くようになったものの、強い風とともに雪が吹きつける時間を繰り返す。不動山では北側の景観が望めた。メインコースは細い雪稜の先から岩戸寺につながるが、きょうは西側の旧千燈寺跡へ寄ってから国見温泉まで歩く。 道路から谷間へ降ると、あたり一面に五輪塔群が現れた。奥ノ院には仁聞(にんもん)菩薩入寂の岩屋と六所権現跡があり、石段を降ると講堂跡・山王権現跡を経て本堂跡に出た。基壇の前には、石造の仁王像がやはり睨みを利かせている。西行戻しを過ぎて、やっと境内地から離れた。さすが「西の高野山」と称されるだけのことはある。 現在の千燈寺は少し下流に位置し、その後は伊美川沿いに尻付岩屋観音堂から赤根(国見町)の宿まで歩く。時間とともに、降雪がますます激しくなった(2022.12.23)。 |