六甲の中央に位置する摩耶山は宗教色の強い山だ。山名は空海によって安置された摩耶夫人(まやぶにん=釈迦の母堂)像に由来するとされ、天上寺の堂舎が山上に建ち並んでいた。残念ながら1976年の火災によって消失し、現在は摩耶山天上寺として摩耶別山(元摩耶=伝開創の地)に再建されている。 登山講座の参加者も変わってきたので、このところコースを変えて六甲の山も歩いている。今回は「新神戸」駅近くの熊内(くもち)八幡宮から雷聲(らいせい)寺を経て旧摩耶道を登る。青谷道に合流すると行者茶屋跡へ出た。青谷川を左岸に渡り、折り返すと仁王門が現れる。長い石段の上が旧天上寺の境内である。 昼食後に三権現社(白山・熊野・愛宕)跡から奥ノ院道で天狗岩大神に達した。三角点は東側にあり、地形図の標高点(最高地点=702m)は西側にあたる。そのあと、ビュースポットで知られる掬星台(きくせいだい)から摩耶別山を往復する。「六甲全山縦走路」は摩耶別山の山頂を通過するものの、ピークハンターでないかぎり最高点(717m)に立ち寄ることはないだろう。標識もなくピークには水道施設があって入ることはできない。 帰途は観音道で三権現社跡に戻り、上野道を下山する。歴史を感じる丁石道がつづく。五鬼城展望公園で市街地を眺め、神戸高校の前を通って王子公園まで坂道を下った。 山中では綺麗な紅葉が見られ、甘い香りに包まれるエリアもあった。また、黄色の小菊やサザンカ、日あたりのよいところでモチツツジとヤマツツジが花を付けていた。晩秋を十分楽しむ一日になった(2022.11.22)。 |