有志の参加者で構成する金曜日の山の会。『高島トレイル』をすべて歩いたわけではないが、今回の二山をもってコースの主なピークが完登できる。そこで、展望に恵まれる秋を狙って水坂（みさか）峠から入山した。
保坂（ほうさか）から歩き始めると、集落の国道で冬を前に融雪スプリンクラーの点検と水量の調節が行なわれていた。水浸しの道路から旧国道を峠に向かう。武奈ヶ嶽からのコースを確認し、反対側の斜面に入る。486m標高点へ登れば、紅葉・黄葉に彩られた樹林がますます美しい。ナツエビネの蒴果も目に着く。板戸の鎧岩近くから急登になって山頂部の分岐に着き、植林の二等三角点を経て最高点（611m）に登りつく。落葉し始めた明るい頂上は、広くヌタ場が大きい。
分岐に戻り、桜峠めざして尾根を南下する。ゆったりした尾根道から、採石場近くの急斜面を慎重に降りて桜峠へ下山した。中央分水嶺は東側の西峰山へつづき、檜峠から搦（からみ）谷源流を回り込みながら行者山につながる。だが、トレイルコースは道路で椋川へ進み送電線が通る尾根に取りつく。土地の問題や所有権が絡むため仕方がないものの、分水嶺を完全に辿れないのが残念である。旧今津町と旧朽木村の境界にあたる。
登山口から再び登り始め、工事用モノレールが敷設された鉄塔を過ぎると雰囲気のよい樹林が広がった。紅葉も見事だ。植林も頻繁に現れるが、静かなトレイルはなかなか好ましい。モミの巨木があちこちに立つ。稜線が大きく方向を変えて南東へ向くと横谷峠との分岐に着いた。ほどなく、ヒカゲノカズラに覆われた行者山の頂上へ出た。
倒木帯を迂回して、南側の尾根を麻生（あそ）に向けて降る。道はあまり明瞭ではないものの、地形が単純なので間違うことはない。標高300メートル地点に立つ行者堂へ立ち寄り、頂上から30分で久保所（くぼじょ）のバス停に降り立った（2022.11.11）。 |
