久美浜湾(丹後)の畔に位置する兜山は、小天橋の絶景で有名だ。マグマが固まってできたドーム状の地形で知られる。往復の交通に時間がかかるものの、「京都再発見」の講座で出かけた。先月は台風の影響で取りやめたため今月に実施するが、これからの季節は「ウラニシ」の影響であまり適さない。今回が今年最後のチャンスだと思われた。京都から綾部付近までは晴れ間の覗く天気だったが、現地へ近づくにつれ時雨模様となる。 京都丹後鉄道の「かぶと山」駅から、行基の開創とされる甲山(こうさん)寺に立ち寄って登山口のある公園をめざす。「大文字」(毎年8月9日に点灯)の斜面を横切って行くと人喰岩の上部に着く。標高が低いので雨雲の影響をあまり受けず、そこそこ展望が得られる。流紋岩の岩肌と色が独特で、里人を食う岩の口に赤土を詰めたという伝説が残る。ギョクズイの「そろばん玉石」を産出することでも知られる。 山頂に近づくと熊野神社の樹林が広がり、その中に小祠が建つ。熊野とのかかわりが深く、熊野郡の地名の由来になったとされる古社で、『延喜式』神名帳にも記載される。 裏手に回ると展望台が設置してあり、久美浜湾を眺めながら昼食タイムにした。対岸にある如意寺岳(164m)もよく似た山容である。小天橋は湾を塞ぐように張り出した砂洲で、東側には砂丘が3キロメートルほどつづく。 車道を降って大師堂から甲山の集落を通り、塚ノ鳴(つかのなる)古墳からハス池を周回して駅に戻る。冬はハクチョウなどの越冬地になるそうだが、この季節は川上谷川の氾濫原である池周辺に何羽ものアオサギが舞っていた(2022.10.18)。 |