大和高原にある都介野(つげの)岳は三角形の山容が特徴で、「都祁(つげ)富士」とも呼ばれる。周辺は古くから闘鶏(つげ)国として開かれたため、歴史的な遺産や遺物が各所に残る。都祁一帯の標高が400メートルほどあるため、山々はどれも丘陵のような感じだ。 時間の余裕があるので、まず城山登山口から多田氏の貝那木(かいなぎ)山城址(多田延実築城)に登って都祁の田園風景を概観した。南白石へ下山し、公園として整備された三陵墓古墳に向かう。東古墳は大和で最大級の前方後円墳で、墳丘長が約110メートルある。西古墳は直径40メートルの円墳。 南之庄から迂回して都介野岳に登り、龍王社の参道を國津神社へ下山する。山頂直下に役行者像が祀ってあった。集落の背後にある柏峯(502.5m)と歓楽寺に立ち寄り、来迎(らいこう)寺の道標から寺院へ向かう。行基の開創とされ、本堂の裏に宝塔や多くの五輪塔があった。 集落内の細い道で水分(みくまり)神社へ進み、山邊ノ御井(やまのへのみゐ)と落ち着いた境内でゆっくりと時間を過ごす。宇陀・吉野・葛城とともに、大和にある水分社のひとつとで水の神として知られる。今回は並松(なんまつ)で行程を終えるが、秋の山里を十分楽しむことができた(2022.10.3)。 |