磐座(いわくら)は神の鎮座するところ。神の御座を表し、岩座・岩倉などと表記されることもある。大きく三つに分類でき、石を神体とする信仰(石神信仰)と、石に神が降臨する磐座の信仰(狭義の磐座)、そして石を集めて積み、神が降臨する祭場を造る磐境(いわさか)である。いずれも、石(岩)が大きな要素でその力を頼みとしている。 上記の二冊は、日本の原風景(魂)を訪ね歩く著者が選んだ神々(磐座)を紹介しているが、地域性や風土に深く迫る方法で取り上げており、環境やスタイルは多岐にわたる。山・川・海など自然で規定されるだけに、それぞれが唯一の信仰形態をつくり出してきた。しかし、その背後を貫く神性(精神)は、全国的にどれも縄文時代まで遡る普遍性があるという。 山登りをしてきて、山中や山頂の岩に引かれることは若い頃からあった。一時は登攀の対象としたり、自然の岩場や滝・廊下を見るとやはり心が騒ぐ。だが、いろいろ経験するなかで、山頂から少し下った岩に神が憑りつくという意味(例外もある)が感覚的にわかるようになった。そのきっかけが、大岩大神〔二石山(稲荷山)〕との出会いである。典型的な景観に、初めて接した時の驚きを今も鮮明に思い出す。どうやら、私も磐座(聖地)巡りにはまっているらしい。 |