白屋岳は台高山脈の明神平・薊岳から西へ向かう支稜の末端にある。東吉野村と川上村の境界にある足ノ郷越から吉野川へ張り出す尾根に位置し、大峰や吉野の山々を近くに望むことができる。その展望を期待して出かけた。 かつて、鷲家(わしか=東吉野村)から白屋(しらや=川上村)に向けて歩いたこともある。山腹の集落では、南向きの傾斜地がそのまま畑になっていた。印象深い当時の光景が蘇る。今では車で簡単に登れるコースを利用する人が多いものの、旧集落の現状を知りたいので大滝ダムの白屋橋から往復する。ダムが完成した翌年(2003年)に試験湛水がはじまり、地滑りが発生して集落全37世帯が移転を余儀なくされた。その対策工事は長くつづき、竣工式が行なわれたのは2013年のことである。 集落跡を過ぎ、不動明王碑から白屋辻を経て大平に登ると、山上ヶ岳など大峰の山が姿を見せた。低い場所ではよくわからなかったピークがはっきりして、昼食を兼ねながら展望を楽しむ。頂上ではわずかながら台高の山も姿を見せ、あらためて山容をインプットすることができた。 コースの一部に自然林があるものの、植林主体の山なので季節の花は少なかった。コアジサイもこれからである(2022.7.8)。 |