以前から気になっていた越知(おち)山へ行くことができた。白山を開いた泰澄(たいちょう)が修行をした山として知られ、「越前五山」〔越知山・文殊山・日野山・吉野岳(蔵王山)・白山〕の一峰である。開山は695年(飛鳥時代)とされ、山頂に越知山三所大権現ゆかりの越知神社があって室堂を中心に堂舎や旧跡が点在する。白山と同様の構成なので、その原型といわれる。 丹生(にゅう)山地は福井県嶺北地方の越前海岸に近い山域で、若い頃に武周ヶ池やホノケ山へ行ったことがある。越知山近くの六所(ろくしょ)山が最高峰だ。遠方でアプローチに時間がかかるため、越前町の小川から取り付く「行者道」を往復した。標高が上がると林床はオオイワカガミが群生し、ブナやミズナラの樹林が美しい。なかには巨樹も散見でき、吹き抜ける風が爽やかである。2時間ほどで奥ノ院に達し、泰澄も跋渉したであろう道の一部を体験することができた。 好天なら、加賀から越前の山々が望める展望台に行ったものの、湿度と温度が高いため遠くを望むことは叶わなかった。帰途に独鈷水(とっこすい)で霊水を味わう。岩から湧き出す水は冷たく、近くのブナも立派である。アカショウビンの鳴き声に包まれながら、予定どおりの時間で下山した。サンコウチョウも何度か聞くことができた(2022.6.10)。 |