日曜日のトレッキング講座で「廃村八丁」に出かけた。かつては、北山の名所のひとつで多くのハイカーの姿があった。土蔵に描かれた東京日本橋の絵も有名だ(作者=YOSHIO ITO)。それが崩れ去り、周辺の様子も水害などですっかり変わって、今では歴史そのものが忘れ去られようとしている。この日も品谷山の頂上で団体に出合ったものの、八丁側のエリアでは私たちだけの時間を過ごした。 菅原バス停からダンノ峠に向かい、尾根伝いに品谷山へ登ったあと品谷峠からスモモ谷に降りる。帰りは四郎五郎峠を経て刑部谷を遡り、ダンノ峠からバス停へ下山する周回コースを歩く。この10年ほどの間に何度も訪れているが、景観の変遷にも興味があった。 この日一番の特徴は、春の花が数多く咲いていたことで、みんなの歓声が湧き上がる。なかでも、群生するイワウチワは見事だった。八丁では、学校橋が架かっていた近くの石仏は花に包まれなかなかよい雰囲気だ。時間があるので少し先の八幡宮にも寄ってみた。知井と弓削の山論(所有権争い)を背景にした、八丁山の所有を後世に伝える紀念碑(明治45年建立。発起者=山本吉左ヱ門)も倒れている。 落葉広葉樹の林は木々が芽吹き始めたばかりで、美しい色彩が次々と現れた。広河原では夕日に照らされたサクラが川沿いに点在し、この季節の明るさをいっそう強めている(2022.4.17)。 |