今回の山旅で最後に伊豆大島の三原山へ登った。観光地だけに三原山頂口(御神火=ごじんか=茶屋)から山上の三原神社までは舗装された遊歩道が整備されている。多くの人はそのコースを利用するが、山歩きの観点から表砂漠・お鉢巡り・裏砂漠をつないで周回した。午後の高速艇に乗船するため、岡田港まで行く時間も必要である。 三原山頂口から砂地の道を外輪山に沿って南へ向かう。幻の池に水はなかったが、ところどころで昨日の雪が残っていた。まず、滑走台跡から赤ダレの荒々しい地形を見に行く。海の彼方に利島が浮かんでいた。岩礫帯を三原山中央火口に登り、三原神社や火口展望台で生きている火山と迫力を感じる。三原新山の最高地点は立入禁止区域なので、コース上では剣ヶ峰が最も高い。 割れ目噴火口を横に見ながら裏砂漠方面に進む。風が当たらず日あたりのよいところでスミレの花が咲いていた。溶岩流やロックガーデンの下部は黒い砂漠になり、進むにつれてパイオニア植物が目立ってくる。大島温泉ホテルに近づくと、けっこう大きな樹木に覆われていた。1986年の噴火は記憶に新しく、全島民が避難生活を余儀なくされた。30余年が過ぎ、今の様子を眺めると生物も住民もなかなか逞しい。 利島から神津島を経て元町港に着いた日は、源為朝の館跡とされる赤門周辺と古い町並みが残る波浮港(はぶみなと)に立ち寄った。島の歴史と社会の一端にもふれることができ、移動日もおおいに楽しむことができた(2022.3.25)。 |