伊勢本街道が通る初瀬(はせ)から榛原にかけては、歴史的な街道として魅力を備えている。ただ、現況はほとんど道路を歩かなければならず、山側の見どころをつなぐ計画に変更した。そのルートは東海自然歩道にもなっている。 鳥見山公園から山腹の道を宮垣内(みやかいと)に向かい、まず高おかみ(「雨」に「龍」もしくは「雨」と「口」横に三つと「龍」)神社へ参拝する。由緒記には、長谷寺の鎮護神として九頭龍権現を戸隠山から遷したとあった(清水山=きよみざん)。付近の萱森・和田・白木・中谷・吉隠(よなばり)などに祀られ、同名の神社が集まる地域として興味深い。 集落の外れからは高束(鷹塚=たかつか)城址の台地がよく見えた。中腹を巻いて尾根に出たところから城跡へ登る。谷の地形を生かした堅堀だろうか、上部に水が湧き出る地点があった。また、最高地点の曲輪跡近くに露岩(「乗馬石」?)が見られた。説明板には、戦国の動乱期に松永久秀の攻撃を受けて藤原順賢が討ち死にし落城したと記されている。 石畳の道を降ると萱森(口ノ倉)で、眼下にまほろば湖とその彼方に初瀬山の山稜が横たわる。口倉神社の標石が立つ高おかみ神社に寄ってから湖畔へ降りた。天神山の裾を下流に進むと、見廻(みかえり)不動尊と笠地蔵が相次いで現れる。初瀬川(大和川)の左岸は与喜山暖帯林で大きな樹木が多い。長谷寺の門前から趣ある門前町を歩いて行けば、道の分岐に伊勢への道標が立っていた(2022.3.7)。 |