杉尾峠と紀見峠の間にあるタンボ山を、「低山歩き」の講座で周回しようと計画した。高野街道が通る天見と紀見峠付近はこれまでに何度も歩いており、未踏の石見川上流を主要な目的地として考える。このエリアには硫黄ガスを噴出する鳥地獄があって、現在の様子を確認したいとも思った。 「天見」駅を出発して、遊歩道になった南海高野線の廃線跡を島ノ谷に向かう。蝋梅と紅梅が咲き誇る山里の風景は美しい。ウグイスの初鳴きにも遭遇した。今シーズンは厳しい冬だが、春の訪れは着実に迫っている。十字峠を越えて石見川の谷筋に下った。かすかにガスの臭いがする。石見川口近くから地獄谷を上流へ向かい、枝谷の踏跡を追って鳥地獄に着く。そこには、葛城修験の碑伝(ひで)が打ち付けられていた。赤茶色や黒色の谷筋が地質を表す。 スギ林の林床はアオキばかりで、杉尾峠に向けて暗い植林地を登る。風を避けて稜線の手前で昼食の休憩。「ダイヤモンドトレール」に出てからは、踏み固められた雪に注意して進む。自然林は冬枯れで明るく、「タンボ山」の標識から頂上の二等三角点へ。展望は得られず、ときおり開ける場所で眺望を楽しむ。紀ノ川を挟んだ南側の山なみが幾重にも重なっていた。 西ノ行者と山ノ神に参拝し、トレールコースから外れて紀見峠の集落へ直接出る。駅へ向かう旧道では、日当たりのよい場所にリュウキンカが黄色の花を輝かせていた。山麓のあちこちで、ひと足早く春を感じる一日になる(2022.2.22)。 |