金剛山から流れ出る千早川流域には、稜線から富田林にかけて長い尾根がいくつも派生する。これまでに坊領山や奥赤坂山を登り終え、楠木正成が築いた砦のあった肩衝(かたつき)山にも行きたいと思っていた。ここは千早城の正面にあたる場所で、本城を取り囲む砦群のひとつである(肩付。元弘2=1332年築城)。 千早大橋から千早隧道(千早洞)への旧道に入ったところから尾根に取り付き、ピークを巻くようにトラバースしていく。地形図から判断して580mの等高線に達したが、あまり頂上らしくない。周囲を見渡すと、その先の高まりがピークであった。2.5万図にある歩道の点線が終わる地点だ。 「千早古道」の標識がある尾根を降り、二本目の送電線にある鉄塔で休憩する。霧氷だろう、白い大和葛城山や金剛山の山頂が見えた。式内社の中津神社に下山し、鳩原から石見川の左岸を寺元に向かう。延命寺への峠道分岐に「右 かうや みち」の道標があり、ここも高野街道の間道だったと思われる。表面が摩耗していて、左側の文字は読めない。 この日のハイライトとして、役行者の開創とされる観心寺に立ち寄る。梅林の花はこれからだが、国宝の金堂をはじめ楠木正成の首塚まで境内を一周した。 河内長野市のハイキングコースになっている峠を越えて、最後は延命寺から「三日市町」駅まで歩く。また、出発地の「富田林」駅で少し時間があったため、寺内町にも寄ってみた。東高野街道の通る歴史を感じさせる町並みが美しい(2022.2.11)。 |