九重の山なみから北西に離れて目立つピークが涌蓋(わいた)山だ。以前から気になっていたので、時間ができた機会をとらえて出かける。交通と時間の制約が大きいので、大分県側の筋湯(すじゆ)温泉を起点に疥癬湯(ひぜんゆ)から取り付いて山頂へ。その後はミソコブシ山・一目山を経て八丁原から筋湯温泉へ周回した。 標高1,000mを超えると、草地や笹原が広がって見晴らしがよくなる。さっそく、霧氷で白くなった涌蓋山と手前の女岳が姿を現した。振り返れば九重の火山群が凹凸を繰り返し、裾野は高原がどこまでもつづいている。南方は阿蘇の外輪山から中央の高峰群が雄大だ。登るにつれて東西二つのピークが目立つ由布岳が視界に入り、反対側には雲仙岳(平成新山)も認められた。しばし大パノラマに見とれる。 晴天で霜柱が溶け出し、火山性の土壌がぬかるみ始めた。足元に注意しつつ尾根を南下する。なだらかな尾根は草地が多く、どこでも眺望が楽しめる。円錐形の綺麗な一目山は「いちもくさん」と呼ばれるが、以前は「ひとめやま」とか「ひとめづか」と称したピークである。岩に腰掛けて最後の景色を楽しんだ。蒸気を吹き上げる八丁原から、九大山の家と小松地獄に立ち寄って温泉へ戻る(2021.12.14)。 |