茶野(938m)から御池川西岸(右岸)を日本コバへつづく稜線の中ほどに天狗堂がある。標高は1,000mに達しないものの、鋭い山容はよく目立つ。どこから登っても傾斜が強く、大岩が点在するのでなかなか厳しい。サンヤリは仏供(ぶく)サン山とも呼ばれ、天狗堂の北側に位置する二等三角点の置かれたピークである。どちらも、仏教との関連がある名前のようだが、詳しいことはわからない。 落葉した季節に行こうと考え実施したが、直前の寒波で上部はうっすらと雪化粧していた。主稜の山々が、青空に際立ったスカイラインを描いている。なかなか美しい風景が展開していた。 登山口の君ヶ畑は、木地師の祖と仰がれる惟喬(これたか)親王が隠れ住んだ土地で、御陵だけでなく住居だった高松御所(金龍寺)や大皇器地祖(おおきみきじそ)神社がまとまって残る。今も轆轤で木材を加工する木地師もおられるようだ。 参道から尾根に取り付くと、植林の中にモミやブナの木が目につく。上部は徐々に広葉樹の林となり、岩と雪の急坂を慎重に進む。御池林道からの道が合流すると、展望のよい岩がある頂上に着いた。目の前を御池岳や藤原岳の巨体が視野いっぱいに広がる。 風が強く寒いので、日当たりのよい場所を求めて北側の大岩を迂回しながら下る。サンヤリへの稜線はシャクナゲとイワカガミが多く、花の咲く時期はさぞすばらしい光景だろう。924m標高点を巻いて登り返すと頂上に達した。北側の樹間から霊仙山や湖東方面の眺望を楽しみ、天狗堂まで引き返して南東側の尾根を降る。西からの風の影響がなくなって、雪もほとんど見られなかった(2021.12.3)。 |