日光湯元から前白根山に取り付き、五色沼を取り囲むように時計回りで白根山・五色山へ。その後、中ツ曽根を使って湯元まで下山する予定だ。宿の朝食が遅く、日帰りでギリギリの行動になった。 かつて登った時と同じコースだが、その時はさらに金精(こんせい)山・温泉(ゆせん)ヶ岳・根名草山から奥鬼怒温泉郷へ向かった。朝は青空が覗き絶好の登山日和と思われたが、登るにしたがい霧に覆われてくる。天気予報は概ね晴天。しかし、日光白根山周辺だけ雲に覆われ、1時間あたり1ミリ程度の降水がある見込み(“SCW”)である。 急坂を登り切ると外(と)山の尾根で、足尾山塊を望むことができた。林床はすっかり枯れ色に変わり、カラマツの葉も黄色い。冬芽をいっぱい付けたシャクナゲが目立つ。来年の花の季節は、さぞ見事な景色が見られることだろう。前白根山までくると周囲が霞んできた。 五色沼避難小屋から登り始めると、降りてくる登山者が次々と現れる。どうも山頂は渋滞で時間がかかるらしい。風と雨では余計に時間を取られる。森林限界を超えたところで風の対処法を説明し山頂へ。午後1時を過ぎているものの、人の列は途切れることがなかった。ガラガラの急斜面を慎重に弥陀ヶ池へ向かう。 五色山への道へ入った途端に人の姿は途絶え、静かな空気に包まれる。ときおり明るくなって期待を持たせるが、周辺の風景を眺められるほどには回復はしなかった。国境平から中ツ曽根を下り、シカの鳴き声を聞きながら暗くなり始めた金精沢を渡って湯元に戻る。みなさんにとって、経験の度合いを高める山行になったのではないだろうか(2021.10.10)。 |