バスの減便の影響で、太郎山は時間的にタイトな行動が予想された。天気はあまり芳しくなく、午後から雨になりそうである。翌日に焦点を合わせて体力を温存したいとのことで、みなさんは西(さい)ノ湖・千手ヶ原・戦場ヶ原などに行き先を変更。けっきょく、単独で行動することになった。三本松から裏男体林道を志津方面に向かい、太郎山から山王帽子山を経て光徳牧場に降りる予定である。時間が許せば、山王峠から小峠に寄って湯元まで歩こうとも思う。 裏男体林道は、かつて大真名子山から下山するときに歩いた。距離はあっても緩やかな道なのでスピードは平地と変わらずに行ける。登山口から新薙の縁に取り付くと、シャクナゲが目立つようになった。上部は傾斜が強くなり、大きな段差には迂回する踏み跡がいくつもできている。火口跡の花畑直下で新薙のガレを二度横断。この辺りまで展望は得られたが、深い霧の中に突入して視界が悪くなる。石門から最後のひと登りで山頂に到達した。残念ながら、眺望はまったくない。 小太郎山直前の剣ヶ峰の岩稜を慎重に進むと、御料局三角点の標石が埋設された山頂はすぐだった。そのまま山王帽子山への尾根を下降し、ハガタテ薙分岐を経て鞍部で昼食の休憩にする。小雨が降り始め、ネマガリタケの背が高いので雨具をつけた。樹林の山王帽子山へ登り返し、山王峠に再び降る。時計を見ると、時間があるので湯元まで歩くことにした。 西側の100メートルほど下に涸沼の凹地があり、紅葉が始まった周囲の色彩が美しい。少し登り返すと切込湖と刈込湖がつづいて現れ、両者は浅瀬でつながっていた。霧に包まれた景観が幻想的だ。小峠を越えると、谷筋が一面橙色に染まっている。甘い香りが漂い、枝先の黄色が明るい。説明版にヒロハカツラとあった。だんだん硫黄の匂いを感じるようになり湯元へ着く(2021.10.9)。 |